
2025年4月9日、Microsoftは「Windows 11 バージョン24H2」向けに累積更新プログラムKB5055523の配信を開始しました。この更新により、OSビルドは26100.3775にアップグレードされます。
この更新は毎月恒例の「Patch Tuesday」に合わせて提供されたもので、セキュリティ修正やパフォーマンス改善に加えて、Copilot+ PC向けのAI機能強化が含まれる点が大きな特徴です。
目次
主な改善内容と新機能
セキュリティと機能面の修正
以下のような重要な不具合修正とセキュリティ対応が含まれています。
- Kerberos使用環境におけるパスワードローテーションの問題を修正
Credential Guardと組み合わせて利用していた一部機能が想定通り動作しない問題に対応しました。これにより認証失敗のリスクが軽減されます。 - チリ・アイセン地域の夏時間変更(DST)への対応
現地の法改正に伴い、システム時刻が正しく反映されるようになりました。 - PcaUiArmの異常挙動を修正
特定の状況で発生していたUI関連の問題に対する修正が含まれています。
Copilot+ PC向けの新機能
特に注目すべきは、Copilot+ PC限定でAI機能が大幅に強化されたことです。
- 自然言語検索の強化
従来のキーワード検索に加えて、日常的な言葉で目的のファイルや設定を検索できるようになりました。例:「2024年の年次報告のエクセルファイルを探して」など。 - ライブキャプションの多言語翻訳対応
44言語以上に対応し、リアルタイムで音声を翻訳・字幕表示できるようになります。 - 絵文字ボタンの追加
タスクバーに絵文字アクセス用のボタンが新設されました。設定で非表示にもできます。 - ゲームパッドキーボードの導入
Xボタンでバックスペース、Yボタンでスペースなど、タッチ操作の効率が向上。 - 設定画面の視認性向上
「システム > バージョン情報」にて、GPUなどの情報がカード形式で表示され、視認性が改善されています。
その他のUI・安定性改善
- タスクマネージャーのCPU使用率表示の一貫性向上
全ページで統一した計算式が適用され、混乱が減ります。 - エクスプローラーのUIバグ修正
「…」メニューが逆方向に表示される不具合がついに解消されました。 - スリープ復帰時のBSODや画面回転問題を修正
デバイスの安定性が向上しています。
知られている不具合と回避方法
KB5055523にはいくつかの既知の不具合も報告されています。以下はその一部と回避策です。
対象 | 不具合内容 | 回避策 |
---|---|---|
Roblox(ARMデバイス) | 正常に起動しない | 公式サイトから直接ダウンロード |
Citrix環境 | 互換性の問題 | Citrix提供のドキュメント参照 |
Windows Hello | PIN・顔認証のログイン不具合 | 再登録(設定 > アカウント > サインインオプション) |
インストール方法と更新サイズ
この更新は以下の方法で入手できます。
- 自動配信:Windows Update経由で自動的にインストール
- 手動インストール:Microsoft Updateカタログから
.msu
ファイルをダウンロード
なお、パッケージサイズは以下の通りです。
- ARM版:約3GB(AIモデルを含む)
- x64版:約1.3GB
Servicing Stack Update(KB5058538)も同梱されており、更新処理の信頼性が向上しています。
更新失敗時の対処方法
万が一、KB5055523のインストールに失敗した場合は、以下の手順を試してください。
- 管理者権限のコマンドプロンプトでパッケージ名を確認
DISM /Online /Get-Packages
- 該当パッケージを削除
DISM /Online /Remove-Package /PackageName:<該当パッケージ名>
※この方法はLCU(累積更新)にのみ有効で、SSUは削除できません。
導入前に注意すべきポイント
- 121件の脆弱性が修正されており、CVE-2025-29824(ゼロデイ)にも対応
- セキュリティポリシーの挙動やPAC Validation設定は、2025年4月以降、完全な強制モードに移行
- Copilot無効設定でもNotepadのAIボタンが無効化されない事例が報告されています(管理ポリシー設定に注意)
まとめ
KB5055523は、セキュリティ修正だけでなく、AI機能の強化やUI・安定性の向上が含まれる重要なアップデートです。特にCopilot+ PCでは検索や翻訳機能の進化が顕著であり、最新の環境を活かすにはぜひ適用しておきたい内容です。
ただし、AI機能の恩恵を受けられない環境でも不具合修正は有効ですので、更新は強く推奨されます。インストール前に既知の不具合と回避策を確認し、安全なアップデートを心がけましょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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