
インターネットやネットワークに接続している限り、システムは常に外部からの攻撃リスクにさらされています。Windows 11には、そのようなリスクからユーザーを守る基本的なセキュリティ機能として「Windows Defender Firewall」が搭載されています。
このファイアウォールサービスは、未承認の通信を自動的にブロックし、アプリごとの通信許可をコントロールすることで、ウイルス感染や不正アクセスからシステムを保護します。この記事では、その仕組みと設定方法、注意点について詳しく解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:Windows Defender Firewall
- 内部サービス名:
mpssvc
- 実行ファイル:
svchost.exe -k LocalServiceNoNetworkFirewall
- スタートアップの種類:自動
サービスの概要
Windows Defender Firewallは、Windows標準のファイアウォール機能を担うサービスで、ネットワーク通信の制御を通じてシステムへの不正アクセスを防止します。
特定のアプリケーションに対して通信の許可・拒否を個別に設定できるほか、ネットワークの種類(パブリック/プライベート)に応じた制御も可能です。
主な用途と機能
- 不正な外部アクセスの遮断
- 通信を許可するアプリケーションの制御
- パブリック/プライベートネットワークごとのファイアウォール設定
- ログ機能による通信履歴の記録
- グループポリシーやセキュリティベースラインとの連携
サービスの設定方法

Win + R
→services.msc
と入力してサービス一覧を表示- 「Windows Defender Firewall」を探してダブルクリック
- 「スタートアップの種類」が「自動」になっているか確認
- サービスが停止している場合は「開始」をクリック
有効化や無効化の手順
有効化する場合
sc config mpssvc start= auto
net start mpssvc
無効化する場合
※セキュリティ上のリスクが高くなるため、無効化は基本的に推奨されません。必要がある場合のみ慎重に行ってください。
net stop mpssvc
sc config mpssvc start= disabled
推奨設定とその理由
「自動(常時有効)」が強く推奨されます。
- 外部からの攻撃をリアルタイムに防御
- 信頼性の高い通信のみを許可できる
- セキュリティソフトと併用可能(重複動作しない)
- 無効化するとアプリケーションやWindows自体の脆弱性が露出する
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- 特定のアプリがネットワークに接続できない
- ファイル共有やリモート接続が遮断される
- 外部からの通信がすべてブロックされる
- サービスが勝手に停止している
解決手順
- サービス状態の確認
sc query mpssvc
- 再起動
net stop mpssvc
net start mpssvc
- 特定アプリの通信を許可
設定 > プライバシーとセキュリティ > Windows セキュリティ > ファイアウォールとネットワーク保護 > アプリに通信を許可する
- ログから原因調査
「詳細設定」からログファイルを有効にして確認可能
関連サービスや補足情報
サービス名 | 機能補足 |
---|---|
Security Center (wscsvc ) | セキュリティ状態の一元管理 |
Base Filtering Engine (BFE ) | ファイアウォール動作の中核機能 |
Windows Defender Antivirus (WinDefend ) | ウイルス対策と連携して総合的な保護を提供 |
Network Location Awareness (NlaSvc ) | ネットワークの種類に応じた制御の判別 |
バッチファイル例
@echo off
sc config mpssvc start= auto
net start mpssvc
pause
FAQセクション
Q1:Windows Defender Firewallを無効にしても他のセキュリティソフトがあれば大丈夫?
他のセキュリティソフトを導入していても、Windows標準のファイアウォールが保険的な役割を果たします。無効にするよりも併用がおすすめです。
Q2:アプリが接続できない場合の設定は?
「アプリに通信を許可する」画面から、対象アプリのチェックボックスが有効になっているか確認します。必要なら「別のアプリの許可」から追加可能です。
関連リンク
- Windows 11のファイアウォール設定ガイド(Microsoft公式)
- scコマンドでサービスを管理する方法
- ファイアウォールルールのエクスポートとインポート方法
- Base Filtering Engineサービスの解説
まとめ
Windows Defender Firewallは、Windows 11において基本かつ強力なセキュリティ機能を提供する重要なサービスです。外部の脅威を遮断するファーストラインとして機能し、他のセキュリティツールとも連携できます。
万が一通信トラブルが発生した場合も、サービスの状態確認やアプリごとの通信許可設定を見直すことで、スムーズな解決が可能です。セキュリティを保つためにも、常に「自動」で有効にしておくのが安心です。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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