
Windows 11では、Microsoft アカウントとの連携を中心に、各種クラウドサービスやアプリのログイン情報を一元管理する仕組みが整備されています。このアカウント連携をシステムレベルで支えているのが「Web アカウント マネージャー(Web Account Manager)」というサービスです。
アプリケーションが認証情報を安全に扱い、ユーザー体験をシームレスにするための基盤となるこのサービスについて、この記事では役割や設定、トラブル対応までわかりやすく解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:Web アカウント マネージャー
- 内部サービス名:
TokenBroker
- 実行ファイル:
svchost.exe -k netsvcs
- スタートアップの種類:手動
サービスの概要
Web アカウント マネージャーは、アプリがMicrosoft アカウントやその他のWebアカウントを使用する際、認証情報の取得・更新・破棄などをセキュアに行うためのWindowsサービスです。
特にMicrosoft Store アプリや OneDrive、Outlook などのMicrosoft関連サービスでこの機能が利用されています。
主な用途と機能
- Microsoft アカウントとのシングルサインオン(SSO)をサポート
- アプリに対して認証トークンを発行・管理
- 認証状態の保持や更新をバックグラウンドで実行
- ユーザーがパスワードを毎回入力する必要を減らす
サービスの設定方法

Win + R
を押してservices.msc
を起動- 「Web アカウント マネージャー」または
TokenBroker
を探してダブルクリック - スタートアップの種類が「手動」になっていることを確認
- 必要に応じて「開始」ボタンを押して手動で起動
有効化や無効化の手順
有効化する場合
認証がうまくいかない場合や、Microsoft Store アプリのサインインに失敗する場合は、以下のコマンドで有効化できます。
sc config TokenBroker start= demand
net start TokenBroker
無効化する場合
このサービスが不要な場合やセキュリティ的に制限したい場合は、以下のように無効化できます。
net stop TokenBroker
sc config TokenBroker start= disabled
推奨設定とその理由
「手動」設定が推奨されます。
- アプリが必要とするタイミングで起動される仕組みになっている
- 常時起動の必要がなく、パフォーマンスへの影響も抑えられる
- 無効化すると一部のアプリで認証エラーが発生する可能性がある
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- Microsoft Storeでサインインできない
- OneDriveが資格情報の確認で失敗する
- Outlookやメールアプリでアカウント認証が通らない
- イベントログに TokenBroker 関連のエラーが表示される
解決手順
- サービス状態の確認
sc query TokenBroker
- サービスの手動起動
net start TokenBroker
- 資格情報マネージャーの確認
control keymgr.dll
を実行して、保存された資格情報を削除・再設定
- Microsoft アカウントの再サインイン
設定 → アカウント → 「Microsoft アカウント」で一度サインアウト後、再サインイン
関連サービスや補足情報
サービス名 | 役割 |
---|---|
User Profile Service | ユーザーアカウントの管理とプロファイルのロード |
Windows Push Notification Service | 通知との連携によるアカウント情報の更新 |
Microsoft Account Sign-in Assistant | Microsoftアカウントの認証処理を支援 |
バッチファイル例
@echo off
sc config TokenBroker start= demand
net start TokenBroker
pause
FAQセクション
Q1:Web アカウント マネージャーを無効化してもいいですか?
Microsoft Store や OneDrive を利用しない環境では無効化しても致命的な問題にはなりませんが、将来的なアプリ利用時に再設定が必要になる可能性があります。
Q2:このサービスが起動しているか確認するには?
タスクマネージャーの「サービス」タブまたはコマンドプロンプトで sc query TokenBroker
を実行することで状態を確認できます。
関連リンク
- Windows 11 で Microsoft アカウントを管理する方法
- scコマンドでサービスを操作する方法(Microsoft公式)
- OneDrive が同期しない場合の対処法
- Windowsのアカウント関連サービスと連携方法
まとめ
Web アカウント マネージャーは、Windows 11でMicrosoft アカウントなどのWebサービスとの連携をスムーズに行うための裏方的なサービスです。認証の簡素化やアプリの一体的な動作に貢献しており、通常は「手動」設定で問題ありません。
認証の不具合が出た際はこのサービスが関係している可能性があるため、状態を確認しておくとトラブルの早期解決につながります。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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