
Windows 11では、複数のユーザーが1台のPCを使い分ける「マルチユーザー環境」が標準でサポートされています。家庭内の共有パソコンや企業でのログイン切り替えなど、ユーザーごとの設定とセッション管理は非常に重要です。
この仕組みをバックグラウンドで支えているのが「User Manager(ユーザーマネージャー)」というサービスです。通常は自動で起動しており、ユーザーのサインイン・サインアウトやプロファイルの管理に不可欠な存在です。
この記事では、User Managerサービスの機能や設定方法、トラブルへの対処法について詳しく解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:User Manager
- 内部サービス名:
UserManager
- 実行ファイル:
svchost.exe -k netsvcs -p
- スタートアップの種類:自動
このサービスは、ユーザーアカウントのセッション管理に関連した基本機能を提供します。
サービスの概要
User Managerは、Windowsのユーザーアカウント制御やセッションの管理を行うための基盤サービスです。複数のユーザーが同時にシステムを利用する際、それぞれのログインセッションの作成、切り替え、管理に関与します。
また、セキュリティコンテキストの設定やグループポリシーの適用にも間接的に関わる重要なサービスです。
主な用途と機能
- ユーザーのサインイン/サインアウト管理
- ユーザーセッションの作成と保持
- マルチユーザー環境での切り替え処理
- セキュリティトークンの割り当て
- グループポリシーやローミングプロファイルの適用支援
サービスの設定方法

Win + R
を押してservices.msc
を入力- 一覧から「User Manager」を探してダブルクリック
- 「スタートアップの種類」が「自動」になっているか確認
- 状態が「実行中」であることを確認
有効化や無効化の手順
有効化する場合
何らかの理由で無効化されていた場合は、以下のコマンドで設定を戻すことができます。
sc config UserManager start= auto
net start UserManager
無効化する場合
このサービスはWindowsのユーザー管理に深く関わっているため、無効化は推奨されません。強制的に無効化することで、ログインやセッション管理に支障をきたす可能性があります。
それでも無効化が必要な特殊環境では、以下のように操作します。
net stop UserManager
sc config UserManager start= disabled
推奨設定とその理由
スタートアップの種類は「自動」にしておくのが基本です。
- サインイン処理やセッション作成ができなくなる恐れがある
- ユーザーアカウントが正常に認識されなくなるリスク
- Windowsのセキュリティモデルにも関わるため無効化は非推奨
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- 新しいユーザーアカウントでログインできない
- サインイン後すぐにログアウトされる
- グループポリシーが適用されない
- 「User Managerサービスが開始されていません」と表示される
解決手順
- サービスの状態確認
sc query UserManager
- 手動でサービスを再起動
net stop UserManager
net start UserManager
- スタートアップの種類を自動に戻す
sc config UserManager start= auto
- イベントビューアでエラーを確認
ログイン時の問題は、eventvwr.msc
の「システム」ログで詳細を確認できます。
関連サービスや補足情報
サービス名 | 役割 |
---|---|
User Profile Service | ユーザーのプロファイル読み込みと管理 |
Credential Manager | 資格情報の保存と認証サポート |
Group Policy Client | グループポリシーの適用管理 |
Winlogon | ログインセッションの制御 |
バッチファイル例
@echo off
sc config UserManager start= auto
net start UserManager
pause
FAQセクション
Q1:User Managerサービスを無効にしてもログインできますか?
通常はできません。セッション管理ができなくなり、ログイン後すぐに強制ログアウトされたり、ユーザープロファイルが読み込まれないなどの不具合が発生します。
Q2:常時実行していてもパフォーマンスに影響はありますか?
ほぼありません。常駐サービスではありますが、必要な処理のみを行うため、CPUやメモリへの負担は非常に軽微です。
関連リンク
まとめ
User Managerは、Windows 11のマルチユーザー環境を円滑に管理するための必須サービスです。サインイン・サインアウトやユーザーセッションの構成と密接に関係しており、基本的には「自動」起動にして常に有効な状態で運用するのが望ましいです。
ログインに関するトラブルが発生した際には、このサービスの状態確認と再起動が解決の糸口になることがあります。管理者であれば、このサービスの役割と挙動を理解しておくことが重要です。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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