
Windows 11では、カレンダーや連絡先、メールなどの個人情報を活用するアプリが数多く存在します。これらの情報はアプリごとに直接保存されるわけではなく、Windowsのバックグラウンドサービスが安全かつ統一的に管理しています。
その中でも「User Data Storage」は、連絡先や予定などのユーザーデータを保持・提供する役割を持つサービスです。このサービスが停止していると、ストアアプリやOutlook、カレンダーアプリなどが正しく動作しないことがあります。
この記事では、User Data Storageサービスの役割、設定方法、無効化の影響、トラブルの解決法までを解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:User Data Storage
- 内部サービス名:
UserDataSvc_XXXXX
(※ユーザーごとに異なるインスタンス名が付く) - 実行ファイル:
svchost.exe -k UnistackSvcGroup
- スタートアップの種類:手動
サービスの概要
User Data Storageは、Windows 11で連絡先・予定表などのユーザーデータを安全に保存・管理し、アプリがデータを活用できるようにするサービスです。
User Data Accessサービスと連携して動作し、アプリがデータにアクセスする際に必要な保存領域やセッション管理を行います。
主な用途と機能
- ユーザーごとの連絡先・カレンダー情報の保存
- アプリからのデータ取得や同期のためのデータベース提供
- データの変更・更新を追跡し、他アプリと整合性を保つ
- MicrosoftアカウントやExchangeと連動したクラウド同期支援
サービスの設定方法

Win + R
を押してservices.msc
を開く- 「User Data Storage」または「ユーザーデータ記憶域サービス(UserDataSvc_XXXXX)」を探す
- ダブルクリックしてプロパティを開き、「スタートアップの種類」が「手動」か確認
- 状態が「停止中」であれば、「開始」ボタンで起動
有効化や無効化の手順
有効化する場合
コマンドプロンプトで以下を実行します(インスタンス名は環境によって異なります)
sc config UserDataSvc_XXXX start= demand
net start UserDataSvc_XXXX
※インスタンス名は sc query type= service
などで確認可能です
無効化する場合
クラウド同期やカレンダー機能を使わない場合に無効化することもできますが、影響に注意してください。
net stop UserDataSvc_XXXX
sc config UserDataSvc_XXXX start= disabled
推奨設定とその理由
「手動(トリガー起動)」が最適な設定です。
- 必要なときだけ自動で起動され、普段はリソースを消費しない
- 無効化するとアプリによるデータ同期や保存ができなくなる
- セキュリティやプライバシーの観点からも、トリガー起動での制御が最も安全
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- カレンダーや連絡先アプリが正しく表示されない
- アプリからユーザーデータの取得に失敗する
- Outlookと予定表が同期されない
- 「このアプリではユーザーデータにアクセスできません」と表示される
解決手順
- サービスの状態を確認
sc query type= service | find "UserDataSvc"
- インスタンス名を特定して起動
net start UserDataSvc_XXXX
- スタートアップ設定の修正
sc config UserDataSvc_XXXX start= demand
- 関連アプリの修復やアカウント再同期
「設定」→「アカウント」→「メールとアカウント」で再設定を行います
関連サービスや補足情報
サービス名 | 役割 |
---|---|
User Data Access(UserDataSvc) | データへのアクセスを提供 |
Contact Data | 連絡先情報のインデックスと検索 |
Sync Host | クラウドとの同期管理 |
Windows Push Notification System | 通知連携と通信処理 |
バッチファイル例(起動スクリプト)
@echo off
sc config UserDataSvc_XXXX start= demand
net start UserDataSvc_XXXX
pause
FAQセクション
Q1:User Data Storageサービスは常に表示されていますか?
いいえ。このサービスは「インスタンスベース」で動作しており、ユーザーごとに異なる名前が付いており、起動中のみ表示されます。
Q2:無効化しても問題ないですか?
予定表や連絡先、クラウド同期機能を使わない環境であれば無効化しても構いませんが、一部アプリの動作に影響が出るため推奨されません。
関連リンク
- Windows のユーザーごとのサービス(Microsoft公式)
- scコマンドの使い方(Microsoft Docs)
- 連絡先やカレンダーが表示されない場合の対処法(Windows 11)
- サービスをバッチで制御する方法
まとめ
User Data Storageは、Windows 11でユーザーの予定表や連絡先などの個人データを保持し、アプリがそれを安全に利用できるようにするためのサービスです。
「手動」設定での運用がもっとも適しており、通常は必要時に自動で起動されるため、ユーザーが意識する必要はほとんどありません。同期や表示に問題があるときには、このサービスの状態をチェックすることで解決につながることが多いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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