
Windowsには、電話回線やモデム、FAXなどと連携して通話や通信制御を行うための仕組みが用意されています。それを可能にしているのが「Telephony(テレフォニー)」サービスです。このサービスは、TAPI(テレフォニーAPI)を利用するアプリケーションが、物理または仮想の通話機器とやり取りする際に必要となります。
現在では利用頻度は減っていますが、特定の業務アプリやモデム機器、VoIP連携などで必要になる場合があります。本記事では、Telephonyサービスの機能と設定、トラブル対処法などを解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:Telephony
- 実行ファイル:
svchost.exe -k LocalSystemNetworkRestricted
- スタートアップの種類:手動
- 内部サービス名:
TapiSrv
このサービスは、TAPIを通じてWindowsとテレフォニーデバイスの間の通信を仲介する役割を持ちます。
サービスの概要
Telephonyは、テレフォニーAPI(TAPI)を利用するアプリケーションに対して、モデム、IP電話、PBX装置などの制御を可能にするためのサービスです。これにより、アプリケーションは電話の発信、着信応答、回線状況の監視といった操作が可能になります。
TAPIを使用するアプリが起動したときにこのサービスも起動するよう設計されており、スタートアップの種類は「手動」が既定です。
主な用途と機能
Telephonyサービスの代表的な用途は次の通りです。
- モデムやダイヤルアップ接続の制御
- FAXソフトやCTI(コンピュータ電話統合)アプリとの連携
- PBX(構内交換機)と接続する業務システムのサポート
- VoIPシステムの一部での制御処理
- 電話管理を伴う業務アプリケーションの動作補助
サービスの設定方法

Win + R
を押してservices.msc
を入力- 一覧から「Telephony」をダブルクリック
- 「スタートアップの種類」を確認(通常は「手動」)
- 状態が「停止中」の場合は「開始」ボタンで起動
有効化や無効化の手順
有効化する場合
TAPIを使用するアプリケーションや通信機器を利用する際は、以下のコマンドでサービスを起動します。
sc config TapiSrv start= demand
net start TapiSrv
GUIからは「手動」または「自動」に設定しておくことで、必要なタイミングで起動されるようにできます。
無効化する場合
TAPI機能をまったく使用しない環境であれば、無効化しても問題ないケースが多いです。
net stop TapiSrv
sc config TapiSrv start= disabled
推奨設定とその理由
基本は「手動」設定で問題ありません。
- 使用していない限り自動起動しないため、リソース消費は最小限
- 必要なときのみアプリケーション側から起動される
- セキュリティリスクを抑えつつ必要時には動作するバランス設計
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- FAXアプリがモデムを認識しない
- CTIアプリが電話回線に接続できない
- VoIPツールがハードウェアを検出しない
- サービス起動時に「アクセスが拒否されました」などのエラーが表示される
解決手順
- サービスの状態を確認
sc query TapiSrv
- 停止している場合は起動する
net start TapiSrv
- TAPI対応アプリケーションがサービスに依存しているかを確認
- 必要に応じてスタートアップの種類を「自動」に変更
関連サービスや補足情報
- Plug and Play:モデムや通信機器の検出に関与
- Remote Access Connection Manager:ダイヤルアップ・VPN接続の管理
- Fax:Windows標準のFAXサービスとの連携
- イベントビューアー:テレフォニー関連のエラー確認に使用
バッチファイル例(Telephonyサービスの確認と起動)
@echo off
sc query TapiSrv
net start TapiSrv
pause
FAQセクション
Q1:Telephonyサービスを無効にしてもPCの動作に支障はありませんか?
TAPIを使用しない限り、多くのユーザーには影響ありません。一般家庭のPCでは無効でも問題ない場合がほとんどです。
Q2:なぜこのサービスは「手動」に設定されているのですか?
必要なアプリケーションが起動するタイミングで呼び出されるように設計されているためです。常時起動の必要がないため、手動が最適です。
関連リンク
まとめ
Telephonyサービスは、Windowsで電話やFAX、モデムなどのテレフォニーデバイスを制御するために使われるTAPI機能を支えるサービスです。現在は利用機会が少なくなっていますが、業務用アプリケーションや特定の通信機器では依然として重要な役割を担っています。
通常は「手動」に設定されており、必要なときだけ起動されるため、普段はそのままでも問題ありません。テレフォニー関連のエラーがある場合には、このサービスの状態を確認することで解決に近づくことができます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
コメント