
Windowsのローカルネットワークで他のPCを名前で認識したり、古いアプリケーションがネットワーク共有を利用する際に必要となるのがNetBIOSという技術です。この機能をTCP/IP通信で利用するための裏方が「TCP/IP NetBIOS Helper」サービスです。
この記事では、このサービスの基本的な役割や設定手順、無効化の影響、よくあるトラブルとその対処法までを丁寧に解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:TCP/IP NetBIOS Helper
- 実行ファイル:
svchost.exe -k LocalServiceNetworkRestricted
- スタートアップの種類:手動
- 内部サービス名:
lmhosts
このサービスは、NetBIOS over TCP/IPを利用する通信において、名前解決や接続支援を行う機能を提供します。
サービスの概要
TCP/IP NetBIOS Helperは、NetBIOS over TCP/IP(NetBT)を通じて、ホスト名の名前解決やネットワーク共有のサポートを提供するWindowsサービスです。特に、旧バージョンのWindowsや古いネットワークアプリケーションとの互換性維持に役立ちます。
このサービスは必要時のみ起動するよう「手動」に設定されています。
主な用途と機能
TCP/IP NetBIOS Helperの主な機能は以下のとおりです。
- NetBIOS名をIPアドレスに変換(名前解決)
- WINSサーバーやLMHOSTSファイルを利用した名前解決支援
- 古いアプリケーションやネットワーク機能との互換性保持
- ネットワーク共有の際の名前表示の補助
サービスの設定方法

Win + R
→services.msc
を入力しEnter- 「TCP/IP NetBIOS Helper」をダブルクリック
- 「スタートアップの種類」を確認(通常は「手動」)
- 状態が「停止中」の場合、「開始」ボタンで起動可能
有効化や無効化の手順
有効化する場合
古いネットワーク機器やアプリで名前解決が必要な場合は、以下のコマンドで手動起動できます。
sc config lmhosts start= demand
net start lmhosts
またはサービス設定画面で「手動」または「自動」に設定します。
無効化する場合
近年のネットワーク環境では不要なケースが多く、無効化しても支障がないことがほとんどです。
net stop lmhosts
sc config lmhosts start= disabled
推奨設定とその理由
通常は「手動」に設定したままで問題ありません。
- 旧式のNetBIOSを使用する環境でのみ必要
- IPv6やDNSベースの名前解決が主流になっている
- 無効化しても最近のネットワーク機能には影響しないことが多い
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- ローカルネットワーク内でPCの名前が表示されない
- ネットワーク共有が一部の古いデバイスで利用できない
- WINSサーバー経由の名前解決が失敗する
- 古いアプリが「ホスト名が見つかりません」と表示
解決手順
- サービスが起動しているか確認
sc query lmhosts
- サービスを起動して再試行
net start lmhosts
- LMHOSTSファイルやNetBIOS設定を確認
C:\Windows\System32\drivers\etc\lmhosts
ファイルを編集- アダプタの詳細設定で「NetBIOS over TCP/IP」が有効か確認
関連サービスや補足情報
- DNS Client:近代的な名前解決方式(推奨)
- Function Discovery Provider Host:ネットワーク探索に関与
- SMBサービス(LanmanWorkstationなど):ファイル共有に関与
- WINSサーバー:企業内ネットワークで使用されるNetBIOS名前解決手段
状態確認・起動バッチファイル例:
@echo off
sc query lmhosts
net start lmhosts
pause
FAQセクション
Q1:NetBIOSを使っていない環境でこのサービスは必要ですか?
必要ありません。ほとんどの家庭やオフィスではDNSやIPv6が使われており、このサービスは無効にしても問題ありません。
Q2:このサービスを無効にすると共有フォルダが見えなくなりますか?
NetBIOS依存の環境では影響が出る可能性がありますが、DNS解決が正常に機能していれば問題ありません。
関連リンク
まとめ
TCP/IP NetBIOS Helperは、Windows 11においてNetBIOSベースの名前解決を補助するためのサービスです。近年では利用頻度が減っているものの、レガシーなネットワーク機器やアプリケーションに対応するために必要となる場面があります。
通常は「手動」に設定されたままで問題なく、ネットワークに不具合があるときにのみ必要に応じて起動・確認する運用が適しています。必要な場合に備えて、使い方を知っておくと安心です。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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