
Windows 11では、高速なSSDと大容量HDDを組み合わせて効率的にストレージを管理できる「ストレージ階層化(Storage Tiers)」が利用可能です。アクセス頻度に応じてデータを自動で移動し、パフォーマンスと容量のバランスを取るこの仕組みを支えるのが「Storage Tiers Management」というサービスです。
この記事では、このサービスの機能や設定方法、階層化ストレージを活用したい場面での注意点、トラブル対応までを詳しく解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:Storage Tiers Management
- 実行ファイル:
svchost.exe -k LocalServiceNoNetwork -p
- スタートアップの種類:手動
- 内部サービス名:
TieringEngineService
このサービスは、ストレージスペースにおける階層化記憶域の最適化処理を担当します。
サービスの概要
Storage Tiers Managementは、Windows 11のストレージスペース機能において、複数のストレージ種別(例:SSDとHDD)を階層的に構成し、効率的なデータ配置とアクセス速度向上を実現するサービスです。
このサービスは通常、最適化処理が必要なタイミングで一時的に起動し、データの移動や再配置などをバックグラウンドで実行します。
主な用途と機能
このサービスが提供する主な機能は次のとおりです。
- 階層化ストレージスペース内のデータ配置の最適化
- 高速ストレージ(SSD)への頻繁アクセスデータの移動
- 容量重視のストレージ(HDD)への非アクティブデータの退避
- PowerShellやタスクスケジューラ経由での再配置の実行サポート
- 長期使用におけるパフォーマンス維持と寿命延命
サービスの設定方法

Win + R
を押してservices.msc
を入力しEnter- 「Storage Tiers Management」をダブルクリック
- スタートアップの種類を確認(通常は「手動」)
- 必要に応じて「開始」ボタンを押して起動
有効化や無効化の手順
有効化する場合
ストレージ階層化機能を利用する際は、以下のようにサービスを起動できます。
sc config TieringEngineService start= demand
net start TieringEngineService
または、手動でサービス一覧から起動可能です。
無効化する場合
階層型ストレージを利用していない場合、無効化しても問題ありません。
- スタートアップの種類を「無効」に設定
- 起動中であれば「停止」ボタンで終了
推奨設定とその理由
既定の「手動」設定が最適です。
- ストレージスペースが階層化構成でない場合は不要
- 必要なときのみ最適化のために呼び出される設計
- 無効化しても通常のディスク運用に支障はなし
- 階層化を利用している場合は、定期的に起動するよう管理するのが望ましい
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- SSDとHDDを組み合わせた記憶域スペースのパフォーマンスが低下
- 最適化を実行しても階層の移動が行われない
- イベントビューアーに「TieringEngineService」関連のエラーが表示される
- PowerShellから階層情報が取得できない
解決手順
- サービスが起動しているか確認
sc query TieringEngineService
- 手動で最適化をトリガー
Optimize-StoragePool -FriendlyName "ストレージプール名"
- PowerShellで階層構成の確認
Get-StorageTier
- イベントビューアーで
TieringEngineService
ログを確認
関連サービスや補足情報
- Storage Service(StorSvc):ストレージスペースの中核サービス
- Virtual Disk Service:仮想ディスク構成との連携
- タスクスケジューラ:定期的な最適化処理の自動実行に利用
- PowerShellコマンド群(Storageモジュール):管理操作に必須
バッチファイル例(状態確認と起動):
@echo off
sc query TieringEngineService
net start TieringEngineService
pause
FAQセクション
Q1:このサービスが起動していないとストレージスペースは使えませんか?
いいえ、通常のストレージスペースは問題なく動作します。ただし、階層型ストレージでの最適化処理が行われなくなります。
Q2:自動的に階層間でデータが移動されるのはいつですか?
通常はアイドル時間中や、指定されたスケジュールで自動的にデータ再配置が行われます。手動でも Optimize-StoragePool
でトリガー可能です。
関連リンク
- Windows 11で記憶域スペースを設定・最適化する方法
- scコマンドによるサービス操作方法
- PowerShellで階層型ストレージを管理する方法
- バッチでStorage Tiersの最適化をスケジューリングする方法
まとめ
Storage Tiers Managementは、Windows 11でSSDとHDDを組み合わせた階層型ストレージ構成の最適化を担うサービスです。アクセス頻度に応じた自動データ移動により、高速性と大容量を両立できるストレージ環境を構築できます。
このサービスは通常、必要なときにだけ起動されるため、基本設定の「手動」のままで問題ありません。階層化を活用している場合は、定期的な最適化処理やPowerShellによる監視を組み合わせるとさらに効果的です。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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