
VPNを使って外出先から安全に社内ネットワークへアクセスする機会が増えてきました。中でも、HTTPS(SSL)通信を利用してファイアウォール越えやセキュアな接続を実現できるのがSSTP(Secure Socket Tunneling Protocol)です。
このプロトコルを利用するために必要なのが、Windowsの「SSTP Service(Secure Socket Tunneling Protocol Service)」。この記事では、このサービスの役割、設定方法、トラブルへの対処法まで詳しく解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:Secure Socket Tunneling Protocol Service
- 実行ファイル:
svchost.exe
- スタートアップの種類:手動
- 内部サービス名:
SstpSvc
通常はVPN接続時に必要に応じて自動的に起動される仕組みです。
サービスの概要
Secure Socket Tunneling Protocol Serviceは、VPN接続においてSSLを利用したトンネリングを提供するサービスです。主にSSTPプロトコルを使ったVPN接続の確立、維持、切断処理などを管理します。
SSTPはHTTPSをベースとしているため、プロキシやファイアウォールを通過しやすく、セキュアなVPN通信を実現できます。
主な用途と機能
SSTP Serviceが担う機能は以下のとおりです。
- SSTPベースのVPNトンネルの確立
- SSL/TLS証明書を利用した暗号化通信の処理
- ネットワーク障害に強いVPN接続の維持
- TCPポート443を使用するため、厳しいファイアウォール環境でも接続可能
Windows標準のVPN機能を使用する場合、このサービスが裏で動作して安定した接続を支えています。
サービスの設定方法

SSTPサービスの状態は以下の手順で確認・設定可能です。
Win + R
を押して「ファイル名を指定して実行」を開くservices.msc
と入力しEnter- 「Secure Socket Tunneling Protocol Service」をダブルクリック
- スタートアップの種類を「手動」「自動」「無効」から選択
- 状態が「停止中」であれば「開始」をクリックして起動
有効化や無効化の手順
有効化する場合
SSTPでのVPN接続がうまくいかない場合は、サービスが停止していないかを確認しましょう。
- スタートアップの種類を「手動」または「自動」に設定
- 「開始」ボタンを押してサービスを実行状態にする
- コマンドで有効化する場合:
sc config SstpSvc start= demand
net start SstpSvc
無効化する場合
SSTPプロトコルのVPNを使用しない環境では、セキュリティやリソース削減の観点から無効化も可能です。
- スタートアップの種類を「無効」に設定
- 「停止」ボタンでサービスを終了
無効化しても、他のVPNプロトコル(IKEv2、L2TP、PPTP)には影響しません。
推奨設定とその理由
このサービスは「手動」設定が推奨されます。
- VPN接続時のみ起動されるため、常駐の必要はない
- セキュリティリスクやパフォーマンスの最適化にもつながる
- SSTPプロトコルを使用しない場合は無効化しても問題なし
ただし、SSTP接続がメインの環境では「自動」に設定しておくとスムーズです。
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- VPN接続時に「SSTP接続の確立に失敗しました」と表示される
- 接続後すぐに切断される
- SSTP VPNのオプションが表示されない
- イベントビューアーに
SstpSvc
関連のエラーが出る
解決手順
- SSTPサービスが起動しているか確認
services.msc
または以下のコマンドで確認:
sc query SstpSvc
- VPN接続設定を見直す
証明書の有効期限やポート443の開放を確認 - ファイアウォールとウイルス対策ソフトを確認
SSTP接続がブロックされていないか確認 - イベントビューアーで詳細を確認
eventvwr.msc
→ システムログ → SSTP関連イベントをチェック
関連サービスや補足情報
このサービスは以下のサービスと密接に連携しています。
- Remote Access Connection Manager(RasMan):VPN全体の接続管理
- IKE and AuthIP IPsec Keying Modules:他のVPNプロトコルで使用されるキー交換
- Windows Firewall:ポート443が閉じているとSSTPが利用できない
- 証明書ストア(certmgr.msc):SSL/TLS通信のための証明書を管理
FAQセクション
Q1:SSTPを使わない場合、このサービスは停止して問題ありませんか?
はい。SSTPプロトコルを利用しないのであれば、停止・無効化しても問題ありません。他のVPN方式には影響しません。
Q2:VPN接続に失敗したとき、このサービスを確認するべき理由は?
SSTPを使用する設定になっている場合、このサービスが動作していないとVPN接続自体が確立できません。最初に動作状況を確認することが有効です。
関連リンク
まとめ
Secure Socket Tunneling Protocol (SSTP) Serviceは、Windows 11でSSTP形式のVPNを利用する際に不可欠なサービスです。SSLを使ったトンネリングにより、高いセキュリティと通信の安定性を実現します。
通常は「手動」設定で問題ありませんが、VPN利用時にはこのサービスが正しく起動しているかを確認することが重要です。利用しない場合は無効化することで、セキュリティとパフォーマンスの向上が図れます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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