
ネットワークの安定運用や障害検知を効率よく行うためには、各機器からの通知を即座に受け取る仕組みが欠かせません。そこで活用されるのがSNMP(Simple Network Management Protocol)トラップです。
Windows 11では、SNMPトラップを受信する専用のサービス「SNMP トラップ(SNMP Trap)」が用意されており、ルーターやプリンターなどのネットワーク機器からの通知をリアルタイムで受け取り、ネットワーク管理ソフトに転送する役割を担っています。
この記事では、SNMP トラップサービスの機能や設定方法、トラブルが発生した場合の対処法について詳しく解説します。ネットワーク監視を行っている方や、SNMPを活用したい方はぜひ参考にしてください。
サービスの基本情報
- サービス名:SNMP Trap
- 実行ファイル:
snmptrap.exe
- スタートアップの種類:手動
- 内部サービス名:
SNMPTRAP
このサービスは、SNMP(Simple Network Management Protocol)トラップメッセージを受信するために使用されます。
サービスの概要
SNMP トラップは、Windowsがネットワーク機器やアプリケーションから送信されるSNMPトラップメッセージを受け取り、SNMP管理ソフトに転送する役割を担うサービスです。
トラップとは、異常や状態変化などを通知するメッセージのことで、ネットワーク管理システムで即時対応を行うための重要な仕組みです。
主な用途と機能
このサービスは、次のような場面で利用されます。
- ネットワーク監視ツール(例:Zabbix、PRTG、SolarWinds)でWindowsのSNMPイベントを監視
- ルーター、スイッチ、プリンターなどのSNMP対応機器からの通知を受信
- サーバー側でのログ収集やアラートのトリガーとして活用
- イベントログにSNMPトラップ内容を記録し、分析に利用
このサービスはSNMP Serviceとは別で、あくまで「トラップの受信と転送」に特化しています。
サービスの設定方法

SNMP トラップサービスの状態確認と設定は以下の手順で行えます。
Win + R
→services.msc
と入力しEnter- 「SNMP Trap」をダブルクリックしてプロパティを開く
- 「スタートアップの種類」を設定(通常は手動)
- 「開始」ボタンで手動起動可能
補足:このサービスは SNMPサービスのインストールが必要です。Windowsの「追加の機能」から有効化してください。
有効化や無効化の手順
有効化する場合
SNMPトラップの受信が必要な環境では、以下の手順でサービスを有効化します。
- サービスのスタートアップの種類を「手動」または「自動」に設定
- 状態が「停止中」であれば「開始」ボタンを押す
- コマンド例:
sc config SNMPTRAP start= demand
net start SNMPTRAP
また、snmptrap
がファイアウォールで許可されているかも確認が必要です。
無効化する場合
SNMPトラップを利用しない端末では、セキュリティおよびリソース節約の観点から無効化しても問題ありません。
- 「スタートアップの種類」を「無効」に設定
- 起動中なら「停止」ボタンをクリック
推奨設定とその理由
一般的には「手動」設定が推奨されます。
- SNMP対応のネットワーク監視を行う場面でのみ必要
- 常時起動が不要なため、手動設定で必要時のみ使用
- ネットワークセキュリティを意識し、不要なポートの常時開放を防ぐ
「自動」にするのは、常にトラップを監視しておく必要がある監視サーバーや特定の業務環境のみで十分です。
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- SNMPトラップが監視ソフトで受信されない
snmptrap.exe
が起動していない- イベントログにトラップが記録されない
- ファイアウォールがトラップをブロックしている
解決手順
- サービスが起動しているか確認
sc query SNMPTRAP
- サービスを手動で起動
net start SNMPTRAP
- 「SNMP」機能がインストールされているか確認
- 設定 → アプリ → オプション機能 → SNMP を追加
- ファイアウォールでUDP 162(SNMP Trapポート)を許可
- SNMP管理ソフト側の設定(ホスト許可など)を見直す
関連サービスや補足情報
SNMP トラップは以下の機能やサービスと連携しています。
- SNMP Service:エージェントとしての動作を提供(必須)
- Event Log:トラップの内容をログ記録する場合あり
- Windows Defender ファイアウォール:ポート制御(UDP 162)
- ネットワーク監視アプリケーション:Zabbix、Nagios、SolarWindsなど
バッチで状態確認する例
@echo off
sc query SNMPTRAP
pause
FAQセクション
Q1:SNMP Trapサービス単体で機能しますか?
いいえ。「SNMP Service」も合わせてインストールし、設定する必要があります。
Q2:SNMP Trapはどんな場面で使われますか?
ルーターの障害通知やプリンターのインク切れ警告など、ネットワーク機器からのイベント通知を受け取る用途で使われます。
関連リンク
- Windows 11でSNMPサービスのプロバイダーを追加する方法
- scコマンドでサービスを管理する方法(Microsoft公式)
- UDPポート162(SNMPトラップ)を開放する方法(ファイアウォール設定)
- SNMPエージェント(Zabbix公式)
まとめ
SNMP トラップは、ネットワーク機器やアプリケーションからのトラップメッセージを受信し、管理ソフトに通知するためのWindowsサービスです。特にネットワーク監視や運用管理の現場で活躍します。
家庭用PCでは無効で問題ありませんが、監視サーバーや業務用ネットワークでは確実に設定しておくべきサービスの一つです。必要なときだけ有効化する「手動」設定が基本で、トラブル発生時にはサービスとポートの状態を確認することが解決の第一歩となります。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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