
図書館や学習施設、社内の受付端末など、複数のユーザーが同じWindows PCを利用する「共有PC環境」では、ユーザーアカウントの管理が煩雑になりがちです。
そんなときに役立つのが「Shared PC Account Manager」というサービスです。一時的なユーザーアカウントの作成・削除を自動化し、シンプルなマルチユーザー運用を実現できます。本記事では、このサービスの仕組み、設定手順、注意点について詳しく解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:Shared PC Account Manager
- 実行ファイル:
svchost.exe
(内部でDLLを呼び出し) - スタートアップの種類:無効(既定)
- 内部サービス名:
shpamsvc
このサービスは、共有PCモードを有効にしたときに自動的に有効化されます。
サービスの概要
Shared PC Account Managerは、共有PC環境において一時ユーザーアカウントを自動的に作成・管理・削除するサービスです。
Windows 11の「共有PCモード」を使うことで、公共施設や教育機関などでのマルチユーザー運用がスムーズになります。このサービスは、そのモードを技術的に支える役割を持っています。
主な用途と機能
Shared PC Account Managerは以下のような機能を提供します。
- 一時ユーザーアカウントの自動作成とログオン支援
- 使用後のアカウントの自動削除によるデータ保護
- 複数ユーザーでの同一PC利用を効率化
- ログオン回数や時間に応じたアカウント管理ポリシーの適用
- 教育機関や図書館など、ユーザー入れ替えが頻繁な環境での運用に適する
一時アカウントの仕組みを導入することで、ユーザーデータの蓄積や設定の煩雑さを防ぎます。
サービスの設定方法

Shared PC Account Managerは、「共有PCモード」を有効にしたときのみ必要となる特殊なサービスです。以下の手順で確認や設定変更ができます。
Win + R
→services.msc
を入力してEnter- 「Shared PC Account Manager」をダブルクリック
- スタートアップの種類を「手動」または「自動」に変更
- 「開始」ボタンでサービスを起動(共有PCモードが有効な状態で)
※ 通常は「設定」アプリやレジストリで共有PCモードを有効にした後、自動的に起動されます。
有効化や無効化の手順
有効化する場合
Shared PCモードを使いたい場合、以下の手順でサービスを有効化することができます。
方法1:Windows設定アプリ(教育機関や組織向け)
- 「設定」→「アカウント」→「共有エクスペリエンス」などで設定
- またはグループポリシーで有効化(Pro以上)
方法2:レジストリで直接有効化
[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\SharedPC]
"Enabled"=dword:00000001
その後、以下のコマンドでサービスを手動で起動可能です。
sc config shpamsvc start= demand
net start shpamsvc
無効化する場合
Shared PCモードを使っていない場合、このサービスは無効のままで問題ありません。
- スタートアップの種類を「無効」に設定
- 起動中なら「停止」ボタンを押す
推奨設定とその理由
通常は「無効」のままで問題ありません。
- 共有PCモードを使用しない一般ユーザーには不要
- 不要なサービスを起動しないことでリソースを節約
- セキュリティリスクやトラブルの回避にもつながる
教育機関や公共端末での共有運用時には、「手動」または「自動」に設定することで、アカウント管理を効率化できます。
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- 一時ユーザーアカウントが作成されない
- ログオン後すぐにアカウントが削除される
- 共有PCモードが反映されない
shpamsvc
サービスが起動できないエラーが出る
解決手順
- サービス状態を確認
sc query shpamsvc
- レジストリの
SharedPC
キーが正しく設定されているか確認 - グループポリシーやIntuneの構成を見直す
- イベントビューアーでログ確認
eventvwr.msc
→ アプリケーションログでshpamsvc
に関連するイベントを調べる
関連サービスや補足情報
Shared PC Account Managerは以下の機能やサービスと連携しています。
- User Profile Service:ユーザープロファイルの管理と削除
- Credential Manager:一時アカウントの資格情報管理
- Task Scheduler:アカウント削除の自動実行(ポリシー連携)
- Microsoft Intune:共有PC構成の一括適用
バッチファイル例(状態確認用):
@echo off
sc query shpamsvc
pause
FAQセクション
Q1:Shared PC Account Managerを有効にすると個人データは残りませんか?
はい。一時ユーザーアカウントはログオフ後に自動削除されるため、個人データはPC上に残りません。
Q2:このサービスを無効にしても他のユーザーは追加できますか?
できます。通常のローカルアカウントやMicrosoftアカウントの追加には影響ありません。
関連リンク
まとめ
Shared PC Account Managerは、Windows 11で共有PC運用を支援するためのサービスです。公共端末や教育機関などで、一時的に利用されるアカウントを自動で管理し、ユーザーごとの情報保持を防ぎつつ効率的な利用を可能にします。
日常利用では無効のままで問題ありませんが、共有PCモードを導入する場合はこのサービスを活用することで、管理の手間を大きく軽減できます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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