
Windowsにログインするたび、ユーザー名やパスワードの照合が行われています。その背後で動作しているのが「Security Accounts Manager(SAM)」と、それを制御する「Security Accounts Managerサービス」です。
このサービスは、アカウント情報やセキュリティ識別子(SID)の管理に関わる極めて重要な役割を担っています。本記事では、Security Accounts Managerサービスの仕組み、設定方法、無効化による影響、トラブル対応について詳しく解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:Security Accounts Manager
- 実行ファイル:
lsass.exe
(Local Security Authority Subsystem Service) - スタートアップの種類:自動
- 内部サービス名:
SamSs
このサービスは、Windowsの起動プロセス中に自動で起動します。
サービスの概要
Security Accounts Managerサービスは、Windowsのセキュリティアカウントマネージャー(SAM)データベースへのアクセスを管理します。SAMには、ローカルユーザーアカウント、グループ情報、パスワードハッシュなどが格納されており、システムのセキュリティと認証に不可欠な要素です。
このサービスが動作していないと、ログオン、サービスの認証、ファイルアクセス制御などが機能しなくなります。
主な用途と機能
Security Accounts Managerサービスの主な機能は次のとおりです。
- ローカルアカウントの認証情報の保存と管理
- SID(セキュリティ識別子)とアカウント情報の対応付け
- グループ管理やアクセス権限の適用処理
- ログオンプロセスとの連携
- 認証に関連する他サービス(Netlogon、LSASSなど)との連携
Windowsの認証システムの中心的な役割を果たしています。
サービスの設定方法

Security Accounts Managerサービスは、基本的に設定変更することが推奨されていませんが、状態の確認は以下の手順で可能です。
Win + R
を押して「ファイル名を指定して実行」を開くservices.msc
と入力してEnter- 「Security Accounts Manager」をダブルクリック
- スタートアップの種類が「自動」、状態が「実行中」であることを確認
なお、「停止」や「無効化」ボタンは使用できない場合があります。
有効化や無効化の手順
有効化する場合
通常はWindowsの起動時に自動的に有効になります。何らかのトラブルで無効化された場合、以下の方法で確認・復旧を試みます。
- コマンドプロンプト(管理者)で状態確認
sc query SamSs
- サービスが停止していれば、再起動するか、以下で起動を試行
net start SamSs
※実際には保護されたサービスのため、直接の起動制御ができないこともあります。
無効化する場合
このサービスは絶対に無効化すべきではありません。
- ローカルユーザーでのログオンができなくなる
- システムの起動プロセス自体が失敗する可能性がある
- 認証関連サービス全体が停止状態に陥る
推奨設定とその理由
スタートアップの種類は「自動」のまま変更しないことが強く推奨されます。
- システム認証の基幹を支えるサービスであり、動作していないとOSが正常に機能しません
- アカウントに関連するセキュリティ処理がすべて停止するため、トラブル対応すら困難になります
- セキュリティポリシーやグループ制御も機能しなくなるリスクがある
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- Windowsログオン時にエラーが発生し、サインインできない
- アカウント制御やアクセス権の読み込みに失敗
- ローカルユーザーが認証されない
- イベントビューアーに「SamSs」や「LSASS」関連のエラーが出る
解決手順
- セーフモードで起動してサービスの状態を確認
通常起動ができない場合、セーフモードで修復を行う - システムの復元ポイントを使用して復元
サービス設定が変更された場合、復元によって元の状態に戻す - コマンドで状態確認とログ取得
sc qc SamSs
sc query SamSs
- イベントビューアーで詳細なログを確認
eventvwr.msc
→ システムログ → SamSs関連のエラーを特定
関連サービスや補足情報
Security Accounts Managerは以下の重要サービスと密接に関係しています。
- LSASS(Local Security Authority Subsystem Service):認証処理の中核
- Netlogon:ドメイン認証やアカウントレプリケーションで使用
- Credential Manager:資格情報の保存・提供
- User Profile Service:ユーザーセッションの読み込みと管理
また、サービスの状態確認には以下のバッチスクリプトが利用できます。
@echo off
sc query SamSs
pause
FAQセクション
Q1:このサービスを停止してしまった場合、どう復旧すればいいですか?
セーフモードで起動し、システムの復元を使用するのが一般的な方法です。最悪の場合、OSの再インストールが必要になることもあります。
Q2:通常のPC利用でこのサービスを意識する必要はありますか?
意識する必要はありません。基本的に自動で起動・管理されるため、状態確認以外の操作は不要です。
関連リンク
- Windows 11でユーザー別のサービスの確認を行う方法
- コマンドプロンプトでサービスを管理する方法(scコマンド)
- ローカルユーザーとグループの管理方法(Windows 11)
- サービスが原因でWindowsにログインできない場合の対処法
まとめ
Security Accounts Managerは、Windows 11のユーザーアカウント管理と認証を支える最も重要なサービスの一つです。SAMデータベースを通じて、アカウント情報やアクセス制御が正しく機能するように保たれています。
このサービスが動作していないと、システム全体が起動しない、またはログオンできないといった深刻な問題が発生します。設定は変更せず「自動」で運用することが基本方針となります。
ご希望があれば、セキュリティ関連サービス全体の依存関係図や、ユーザーアカウント管理の自動化スクリプトも作成可能です。お気軽にお知らせください。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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