
2025年4月末、NVIDIAのRTX 50シリーズGPUに関して、VRM(電源回路)周辺が100℃を超える異常な発熱を示しているという報告が、海外メディアTechPowerUpやReddit上で広がっています。
本記事では、問題の背景と発熱の原因、対象モデル、メーカーによる対応状況、ユーザーの対策方法までを詳しく解説します。
問題の概要と報告元
今回話題になったのは、RTX 5070や5080を搭載する一部のAIB(グラボ製造パートナー)モデルで、GPU本体のセンサーでは検知されない基板背面のVRM周辺が100℃を超えるという事象です。
この問題は、TechPowerUpが実施した熱画像調査や、Redditに投稿されたユーザーの分解・検証報告により明るみに出ました。
発熱の原因と考えられる設計上のポイント
- VRMに十分なサーマルパッドがないモデルが存在
- バックプレートが放熱構造になっていない場合、熱がこもりやすい
- 温度センサーがVRM周辺に無いため、ソフトウェア上では異常が見えない
- RTX 50シリーズの高TDP(300W超)設計が放熱限界に達している可能性も
特にコア部分ではなく基板裏面のホットスポットという点が、見落とされやすい原因となっています。
主に影響を受けているGPUモデル(Reddit報告まとめ)
モデル名 | メーカー | 備考 |
---|---|---|
RTX 5070 | Palit、PNY | ホットスポットで100℃超を記録 |
RTX 5080 | Palit Gamerock | 背面にサーマルパッドが無く、高温化 |
RTX 5090 | FE含む一部モデル | 発熱傾向は低いが議論は続いている |
ユーザーによると、AsusやZotacの一部モデルでは冷却構造の工夫により、こうした過熱を回避できているケースもあります。
メーカーごとの対策と違い
- Asus(TUF/Prime):VRM周辺に十分なサーマルパッドが配置されており、対策済みと評価
- Zotac:Solidシリーズなど一部製品で放熱性に優れる設計が採用
- MSI / Gigabyte:モデルによって設計に差があり、パッド配置に注意が必要
Redditでは「Asus製の低価格モデルですらVRMにパッドがある」として、設計の工夫が注目を集めています。
ユーザーによる対処法・対策事例(Redditより)
多くのユーザーが、以下のような手段で発熱対策を講じています:
- 自分でサーマルパッドを追加して冷却性能を強化(自己責任)
- アンダーボルト(電圧制限)を行って発熱を抑制
- ケースファンの追加や、ケース内のエアフロー改善
なお、分解による改造はメーカー保証対象外となるため、実行には慎重な判断が必要です。
RTX 30シリーズでも似た事例が?
実は、過去のRTX 3090でもメモリの背面加熱問題(80~100℃)が話題になったことがあります。
このときも、「センサーで温度を確認できない裏面のホットスポット」が原因で、同様のサーマルパッド追加が一部ユーザーの間で流行しました。
今回のRTX 50シリーズでも、同様の構造的課題が再燃していると考えられます。
まとめと今後の注意点
RTX 50シリーズは、性能面では優れているものの、設計によっては冷却性能に大きな差が出ることが明らかになっています。
購入予定の方は、スペックだけでなく、
- VRM周辺の放熱設計
- バックプレートの構造
- ユーザーの分解報告(Redditやレビュー)
といった情報も踏まえて選ぶことが重要です。
また、現在のところこの発熱は「仕様上許容範囲」とする見解もありますが、長期間の使用や高負荷での劣化リスクは否定できません。十分な冷却環境と、必要に応じた電力制限での運用をおすすめします。
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