
Windowsのシステム内部では、さまざまなサービスが連携して動作しています。その通信の多くを支えているのが「RPC(Remote Procedure Call)」という仕組みです。
中でも「RPC Endpoint Mapper」は、サービス同士の通信をスムーズに行うために通信の接続先(エンドポイント)を正しくマッピングする重要な役割を担っています。本記事では、このサービスの機能、設定、注意点、トラブル対処法までをわかりやすく解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:RPC Endpoint Mapper
- 実行ファイル:
svchost.exe
(複数サービスと共有) - スタートアップの種類:自動
- 内部サービス名:
RpcEptMapper
このサービスはWindows起動時に自動で開始され、他のRPC関連サービスの基盤として機能します。
サービスの概要
RPC Endpoint Mapperは、RPC通信におけるインターフェイス識別子(UUID)をネットワーク上の接続先(ポートやホスト)にマッピングする役割を果たします。
たとえば、アプリケーションがある機能を呼び出す際、その機能がどのポートでどこにあるかを探し出すのがこのサービスの仕事です。サービス間通信が円滑に行われるための「道案内」のような役割を担います。
主な用途と機能
このサービスには以下のような機能があります。
- RPC通信における識別子(UUID)とエンドポイント(IP+ポート)の対応付け
- 動的に割り当てられるRPCポートの登録と解決
- 他のWindowsサービスやアプリケーションがエンドポイントへアクセスできるようサポート
- WMI、DCOM、Remote Registry、PowerShellリモートなどの基盤を支援
多くの管理系ツールやバックグラウンドサービスが、このエンドポイントマッパーを通じて通信しています。
サービスの設定方法

RPC Endpoint Mapperは通常、自動で起動されるため変更する必要はありませんが、状態の確認は可能です。
Win + R
→ 「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開くservices.msc
と入力してEnter- 一覧から「RPC Endpoint Mapper」をダブルクリック
- 「スタートアップの種類」や「サービスの状態」を確認
- 「開始」や「停止」は一部環境では無効化されています
有効化や無効化の手順
有効化する場合
通常は自動的に起動しているため手動操作は不要ですが、万が一停止している場合は以下の手順で有効化します。
- 「スタートアップの種類」を「自動」に設定
- 「開始」ボタンをクリック
- 以下のコマンドでも状態を確認できます
sc query RpcEptMapper
無効化する場合
このサービスは絶対に無効化しないでください。多くの重要機能が正常に動作しなくなります。
- サービスを無効にすると、WMI、DCOM、レジストリ、プリンター共有などが機能停止
- システムが不安定になり、再起動や復旧も困難になる場合があります
推奨設定とその理由
RPC Endpoint Mapperはスタートアップの種類を「自動」に設定したまま変更しないことが推奨されます。
- RPCを利用する多くのサービスが正常に動作しなくなる
- 一般的なWindows動作やネットワーク通信にも影響する
- セキュリティソフトや管理ツールとの互換性にも問題が発生する可能性あり
このサービスはOSの基本的な通信に関わるため、常に有効にしておくことが必要です。
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- 「RPCサーバーを利用できません」というエラーメッセージ
- WMIクエリが失敗する、リモート管理ができない
- DCOMやWMI経由のアプリケーションが起動しない
- サービスの起動に異常に時間がかかる
解決手順
- RPC関連サービスがすべて起動しているか確認
特に「RPC(RpcSs)」と「RPC Endpoint Mapper(RpcEptMapper)」の両方 - コマンドプロンプトで状態確認
sc query RpcEptMapper
- イベントビューアーでエラー確認
eventvwr.msc
→ システムログ → RpcEptMapperのエラーを確認 - ファイアウォールの設定確認
RPC関連ポート(特にTCP135)がブロックされていないかチェック
関連サービスや補足情報
このサービスは以下のWindows機能やサービスと密接に連携しています。
- Remote Procedure Call (RPC)(RpcSs):RPCの基本処理を担当
- DCOM Server Process Launcher:COM/DCOMアクティベーションをサポート
- Remote Registry:レジストリのリモート操作機能
- Windows Management Instrumentation(WMI):管理系通信の大部分がRPCを経由
また、以下のバッチファイルで状態チェックを自動化できます。
@echo off
sc query RpcEptMapper
pause
FAQセクション
Q1:このサービスを停止してもネットは使えますか?
一部のインターネット通信は可能ですが、Windowsの管理機能やWMI、リモート関連機能が使用不能になります。トラブルを避けるため、停止しないことが原則です。
Q2:「RPCサーバーを利用できません」というエラーはこのサービスの影響ですか?
はい、RPC Endpoint Mapperが停止または異常動作していると、RPC関連の通信全体が機能しなくなり、このようなエラーが発生します。
関連リンク
- Windows 11のサービス管理方法(Microsoft公式)
- コマンドプロンプトでサービス状態を確認する方法
- 「RPCサーバーを利用できません」エラーの対処法(Windows 11対応)
- バッチファイルでサービス状態をチェックする
まとめ
RPC Endpoint Mapperは、Windows 11のRPC通信におけるエンドポイント(接続先)の案内役として重要なサービスです。WMIやレジストリ、ネットワーク管理など、数多くの機能がこのサービスを基盤にしています。
通常は自動で起動しているため、特別な設定は不要です。ただし、トラブル時にはこのサービスが停止していないかを確認することが、原因特定の第一歩になります。決して無効化せず、常に有効な状態を維持することが重要です。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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