
Windows 11が正常に動作するためには、多くのサービスが連携して機能しています。その中でも最も重要なサービスのひとつが「Remote Procedure Call (RPC)」です。
このサービスは、Windows内部で行われるプロセス間通信の基盤となっており、RPCが動作していないと多くのシステム機能が停止してしまいます。本記事では、RPCの基本機能、無効化のリスク、設定方法、よくあるトラブルへの対応などをわかりやすく解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:Remote Procedure Call (RPC)
- 実行ファイル:
svchost.exe
(複数サービスと共有) - スタートアップの種類:自動
- 内部サービス名:
RpcSs
このサービスはシステムの起動時に自動的に開始され、停止することはできません。
サービスの概要
Remote Procedure Call (RPC) は、異なるプロセス間での通信や処理要求を仲介するWindowsのコアサービスです。COM(Component Object Model)やDCOM(Distributed COM)の通信にも関与し、Windowsサービス同士の連携を実現します。
また、RPCはサービスコントロールマネージャーとのやりとりにも使われ、オブジェクトのアクティブ化やリモート操作、システムの構成変更など、多くの場面で不可欠です。
主な用途と機能
RPCサービスの具体的な役割は以下の通りです。
- プロセス間通信(IPC)の基盤機能を提供
- COM/DCOMを介したオブジェクトのアクティブ化と制御
- サービスコントロールマネージャーによるサービス起動・管理をサポート
- ネットワークベースのリモート呼び出し(例:WMI、リモートレジストリなど)
- 他の多くのサービス(タスクスケジューラ、イベントログ、Windows Updateなど)の基盤通信を支える
ほぼすべてのWindows機能がこのサービスに依存していると言っても過言ではありません。
サービスの設定方法

RPCサービスは非常に重要なサービスであるため、通常は設定変更は行いません。ただし状態確認は以下の手順で可能です。
Win + R
で「ファイル名を指定して実行」を開くservices.msc
と入力しEnter- 一覧から「Remote Procedure Call (RPC)」を探してダブルクリック
- スタートアップの種類が「自動」、状態が「実行中」となっていることを確認
なお、停止や無効化の操作はグレーアウトされており、システムからは制御不可です。
有効化や無効化の手順
有効化する場合
通常、RPCサービスは常に起動しており、ユーザーが明示的に起動操作を行うことはありません。ただし、システム異常などで停止している場合は、再起動や復旧処理が必要です。
- 手動で起動する方法は存在しません(OSの保護対象サービス)
- システムの再起動が唯一の回復手段です
- コマンドで状態確認のみ可能です
sc query RpcSs
無効化する場合
このサービスは無効化してはいけません。無効化すると次のような重大な影響があります。
- Windowsが起動できなくなる
- タスクバーやスタートメニューが表示されない
- ネットワーク通信が停止
- サービスやドライバーの読み込みに失敗
- コントロールパネルや設定画面も開かない
このサービスは常に有効であることが前提です。
推奨設定とその理由
スタートアップの種類は「自動」から変更しないことが絶対に推奨されます。
- RPCが停止するとOSのコア機能がすべて停止
- 多くのサービスが依存しており、単一のサービス障害が連鎖的に発生
- 無効化を試みた場合、システムが再起動不能に陥る可能性あり
RPCは「手を加えない」のが正しい運用です。
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- サービスが「開始中」のまま動作しない
- システム起動後、操作できない状態になる
- エラー「RPC サーバーを利用できません」
- ファイル共有やWMIが使えない
解決手順
- PCを再起動してRPCの自動起動を確認
通常、再起動によってRPCサービスは復旧します - システムの復元またはセーフモード起動
RPCが無効化された場合は、セーフモードから復元ポイントを適用 - コマンドで状態を確認
sc query RpcSs
- イベントビューアーで詳細な原因を調査
eventvwr.msc
→ システムログを確認
関連サービスや補足情報
RPCサービスは多くのWindowsサービスと密接に連携しています。
- DCOM Server Process Launcher:RPCの補助サービス、これも必須
- RPC Endpoint Mapper:サービスとの接続情報を管理
- Windows Management Instrumentation(WMI):RPC経由で動作
- ネットワーク接続・リモートレジストリ・ファイル共有:すべてRPCに依存
また、バッチファイルやスクリプトでサービスの状態を確認することは可能です。
@echo off
sc query RpcSs
pause
FAQセクション
Q1:RPCサービスを無効化してしまった場合、どうすればいいですか?
通常の方法では復旧できません。セーフモードに入り、「システムの復元」または回復オプションから設定を戻す必要があります。
Q2:「RPC サーバーを利用できません」というエラーの原因は何ですか?
多くの場合、RPCサービスの異常、関連サービスの停止、ファイアウォール設定の問題、またはネットワークの接続エラーが原因です。
関連リンク
- Windows 11のサービス管理方法(Microsoft公式)
- Windowsで「RPCサーバーを利用できません」エラーの対処法
- コマンドプロンプトでサービス状態を確認する方法
- バッチファイルでサービス状態をチェックする基本スクリプト
まとめ
Remote Procedure Call (RPC) は、Windows 11の中核機能を支える極めて重要なサービスです。COMやDCOMの動作、サービスの起動・通信、プロセス間連携など、OS全体のインフラとも言える存在です。
決して停止や無効化はしないことが鉄則であり、異常がある場合には慎重な対応が求められます。状態確認だけにとどめ、トラブル時は復元ポイントや再起動での復旧を検討しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。
コメント