
リモートデスクトップ接続中に、自宅や職場のパソコンに接続されたプリンターやUSBメモリ、ドライブなどのローカルデバイスをそのまま使えた経験はありませんか?
それを実現しているのが「Remote Desktop Services UserMode Port Redirector」というWindowsの裏方サービスです。
このサービスが正常に動作していないと、リモート先でローカルデバイスが見えない、プリンターが表示されないといったトラブルが起こることもあります。この記事では、サービスの基本から設定方法、トラブル時の対処法までを解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:Remote Desktop Services UserMode Port Redirector
- 実行ファイル:
umrdp.dll
- スタートアップの種類:手動
- 内部サービス名:
UmRdpService
このサービスは、リモート接続が開始され、ローカルデバイスの転送が必要な場合に起動されます。
サービスの概要
Remote Desktop Services UserMode Port Redirectorは、リモートデスクトップセッション中にローカルリソース(プリンター、クリップボード、COMポート、ドライブなど)をリモート接続先へリダイレクト(転送)する機能を提供するサービスです。
ユーザーが設定したローカルリソース共有オプションに基づき、自動的に接続先にデバイスを認識させます。
主な用途と機能
このサービスが提供する主な機能は以下の通りです。
- プリンターやスキャナーなどのローカルデバイスをリモート接続先に表示
- USBメモリや外部ドライブのドライブマッピング
- COM/LPTポートの転送機能
- リモート接続時のローカルリソース共有設定の適用
- クリップボードやファイルのコピー&ペースト操作のサポート(他サービスとの連携)
このサービスが停止していると、リモート先にローカルデバイスが転送されません。
サービスの設定方法

Remote Desktop Services UserMode Port Redirectorの状態は、以下の手順で確認・設定できます。
Win + R
を押して「ファイル名を指定して実行」を開くservices.msc
と入力してEnter- 「Remote Desktop Services UserMode Port Redirector」をダブルクリック
- スタートアップの種類を「手動」「自動」「無効」から選択可能
- 状態が「停止中」であれば「開始」をクリックして有効にします
有効化や無効化の手順
有効化する場合
プリンターやUSBドライブがリモート先に表示されない場合、このサービスが無効になっている可能性があります。
- スタートアップの種類を「手動」または「自動」に設定
- 「開始」ボタンをクリックしてサービスを実行状態にする
- 同時に、リモート接続設定で「ローカルリソースの共有」が有効になっていることを確認
無効化する場合
セキュリティ上の理由などで、リモート先にローカルデバイスを転送したくない場合は、以下の手順でサービスを停止します。
- スタートアップの種類を「無効」に設定
- 状態が「実行中」であれば「停止」ボタンをクリック
- 接続中のセッションでは転送が無効となり、接続先にローカルデバイスが表示されなくなります
推奨設定とその理由
このサービスは「手動」設定が推奨されます。
- リモート接続のたびに必要に応じて自動で起動されるため、常時起動の必要はない
- 共有を許可したいときにだけ自動で動作するため、リソース消費を最小限に抑えられる
- 安全性を重視する場合、無効にしておくことでローカルデバイスの漏洩リスクを低減可能
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- リモート先でプリンターが表示されない
- ドライブの共有ができない
- コピー&ペーストができない
- デバイスが一時的に見えてもすぐ切断される
解決手順
- サービスが停止していないか確認
services.msc
で「Remote Desktop Services UserMode Port Redirector」が「実行中」か確認 - リモート接続オプションの確認
リモートデスクトップ接続アプリで「ローカルリソース」→「プリンター」や「ドライブ」のチェックが入っているか確認 - ファイアウォールやセキュリティ設定を確認
一部のセキュリティソフトがポートリダイレクトをブロックする場合があります - イベントビューアーで詳細を確認
eventvwr.msc
で「UmRdpService」関連のエラーログがあるかをチェック
関連サービスや補足情報
このサービスは、以下のWindowsサービスと連携して動作します。
- Remote Desktop Services(TermService):リモート接続の本体機能を提供
- Remote Desktop Configuration(SessionEnv):セッション構成を管理
- Device Install Service:ドライバーの認識・設定補助
- クリップボードサービス:コピー&ペーストのデータ転送(内部連携)
また、以下のコマンドでサービス状態を確認できます。
sc query UmRdpService
FAQセクション
Q1:このサービスを停止してもリモート接続はできますか?
はい、接続自体は可能ですが、ローカルプリンターやドライブの転送などが無効になります。
Q2:共有プリンターが見えないときの原因はこのサービスですか?
可能性が高いです。このサービスが停止しているか、リモート接続オプションで「プリンター」が無効になっている場合、プリンターはリモート先に表示されません。
関連リンク
- Windows 11でリモートデスクトップを設定する方法
- コマンドプロンプトでサービスを操作する基本
- バッチファイルでWindowsサービスを起動・停止する方法
- リモートデスクトップでプリンターやUSBが使えないときの対処法
まとめ
Remote Desktop Services UserMode Port Redirectorは、Windows 11でリモートデスクトップ接続時にローカルリソース(プリンターやドライブなど)をリモート先に転送するためのサービスです。接続時にローカルデバイスが表示されないトラブルの多くは、このサービスが停止していることが原因です。
普段は「手動」での運用で十分ですが、ローカルリソース共有を頻繁に使う環境では「自動」設定にすることでより安定した運用が可能になります。トラブル時には、まずこのサービスの状態と接続オプションを確認してみましょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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