
テレワークの普及により、自宅からオフィスのパソコンにアクセスする「リモートデスクトップ接続」が日常的に使われるようになりました。これを実現するための中心的なサービスがRemote Desktop Services(リモートデスクトップサービス)です。
このサービスが正しく動作していないと、リモート接続が開始できなかったり、接続後すぐに切断されるなどのトラブルが起きることがあります。この記事では、Remote Desktop Servicesの役割や設定方法、トラブル時の対処法までを詳しく解説します。
サービスの基本情報
- サービス名:Remote Desktop Services
- 実行ファイル:
termsrv.dll
- スタートアップの種類:手動
- 内部サービス名:
TermService
Windows 11では、ユーザーがリモート接続を有効にしない限り、このサービスは通常起動しません。
サービスの概要
Remote Desktop Servicesは、Windows 11でのリモートデスクトップ接続の実行そのものを支えるサービスです。このサービスを通じて、ユーザーは他のPCやデバイスから現在のデスクトップ環境にアクセスすることができます。
ホストPC側でこのサービスが実行されていないと、リモートクライアントは接続できません。
主な用途と機能
このサービスには以下のような機能があります。
- リモートデスクトップ接続の受け入れ
- 他デバイスからのセッション管理と表示制御
- 認証プロトコル(RDP)によるセキュアな通信サポート
- グループポリシーやセッション制御設定の適用
- ローカルリソース(プリンターやドライブなど)の転送処理
まさにリモート接続の「基盤」となるサービスです。
サービスの設定方法

Remote Desktop Servicesの状態は以下の手順で確認・変更できます。
Win + R
を押して「ファイル名を指定して実行」を開くservices.msc
と入力してEnter- 一覧から「Remote Desktop Services」をダブルクリック
- スタートアップの種類(手動/自動/無効)を選択可能
- 状態が「停止中」の場合、「開始」で手動起動可能
有効化や無効化の手順
有効化する場合
リモート接続がうまくいかない場合、このサービスが無効になっている可能性があります。
- スタートアップの種類を「手動」または「自動」に変更
- 状態が「停止中」であれば「開始」ボタンをクリック
- Windows設定の「リモート デスクトップ」機能も有効化する必要があります
無効化する場合
リモート接続を使用しない環境では、セキュリティ強化のためにサービスを停止することが可能です。
- スタートアップの種類を「無効」に設定
- 実行中であれば「停止」をクリック
- 同時に、[システムのリモート設定] 画面から「このコンピューターへのリモート接続を許可しない」を選択することも推奨されます
推奨設定とその理由
Remote Desktop Servicesはリモート接続を使用する場合のみ「手動」または「自動」での有効化が推奨されます。
- 通常使用では自動で起動される必要がない
- 接続を使用する際だけ必要なため、「手動」で十分対応可能
- 常にリモートでの利用がある場合は「自動」に設定しておくと利便性が高まる
セキュリティを意識する環境では、使わない限りは「無効」にするのも有効な手段です。
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- 「リモート デスクトップ サービスを使用できません」と表示される
- 接続がすぐに切断される
- ローカルプリンターやドライブが転送されない
- イベントビューアーに「TermService エラー」が表示される
解決手順
- サービスの状態を確認
services.msc
でRemote Desktop Servicesが「実行中」であることを確認 - 依存サービスの起動を確認
「Remote Desktop Configuration」や「User Profile Service」が停止していないか確認 - Windowsの設定でリモート接続が許可されているか確認
[設定] → [システム] → [リモート デスクトップ] で「リモートデスクトップを有効にする」 - ファイアウォールの設定を確認
Remote Desktop (TCP-In)
が有効になっていることを確認 - バッチファイルやコマンドで状態確認
sc query TermService
関連サービスや補足情報
Remote Desktop Servicesは、以下のWindowsサービスや設定と連携しています。
- Remote Desktop Configuration(SessionEnv):セッション初期化と構成管理
- User Profile Service:ユーザー設定の読み込みと反映
- Group Policy Client:グループポリシーによる制御と適用
- Windows Defender ファイアウォール:接続許可ポートの制御
また、以下のバッチスクリプトでリモートサービスの有効化を自動化できます。
sc config TermService start= demand
net start TermService
FAQセクション
Q1:このサービスを無効にしてもリモート操作はできますか?
いいえ。このサービスが無効になっていると、Windows標準のリモートデスクトップ接続は使用できません。
Q2:常にリモート接続を使っているのに、接続が不安定です。対策はありますか?
「Remote Desktop Configuration」「User Profile Service」「Network Location Awareness」などの関連サービスが起動しているか確認し、Windowsファイアウォールとポート3389の設定も見直しましょう。
関連リンク
- Windows 11でリモートデスクトップを有効にする方法
- コマンドプロンプトでサービスを操作する基本
- リモートデスクトップのポートを確認・開放する方法(バッチ対応)
- Windows 11のファイアウォール設定で接続を許可する方法
まとめ
Remote Desktop Servicesは、Windows 11のリモート接続機能を実現する中核となるサービスです。このサービスが正常に動作していることで、ユーザーは別のデバイスから安定して自分のPCにアクセスすることができます。
使用頻度に応じて「手動」または「自動」で設定を調整し、接続トラブルが発生した場合は依存する他のサービスやファイアウォール設定も含めて総合的に確認しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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