
Windowsには、電源設定を詳細に制御できる「powercfg」という強力なコマンドがあります。
GUI(設定画面)では確認できないスリープ状態の原因や、バッテリーレポートの生成なども可能で、トラブル対応や省電力設計にも活用できます。
この記事では、powercfgコマンドの基本構文と主な使い方、スリープ設定の制御やバッテリーレポートの生成方法までをわかりやすく解説します。
目次
powercfgコマンドとは?
- 読み方:パワーシーエフジー(Power Configuration)
- 役割:Windowsの電源管理機能をコマンドラインで操作するツール
- 使用方法:管理者としてコマンドプロンプトを起動し、
powercfg
を入力
基本的な使い方と主なオプション
電源プランの確認と変更

powercfg /l
→ 現在の電源プラン一覧とアクティブなプランを表示します。
powercfg /s GUID
→ 特定の電源プランに切り替える(GUIDは /l
で確認)。
スリープを妨げる原因の確認
powercfg /requests
→ スリープやディスプレイオフを妨げているアプリやサービスを確認。
自動スリープをブロックしているデバイスの確認

powercfg /devicequery wake_armed
→ PCをスリープ解除できるデバイスの一覧を表示。
powercfg /devicedisablewake "デバイス名"
→ スリープ解除を無効にする。
バッテリーレポートの作成(ノートPC向け)

powercfg /batteryreport
出力先(例)
C:\Users\[ユーザー名]\battery-report.html
システムのスリープ履歴を確認する
powercfg /sleepstudy
→ スリープ状態に関する詳細な統計を出力(一部PCでのみ有効)。
バッテリーレポートの読み方|劣化状態の確認
powercfg /batteryreport
を実行すると、以下のようなHTML形式のレポートが生成されます。
C:\Users\[ユーザー名]\battery-report.html
このレポートを開くと、「Installed batteries(搭載バッテリー)」というセクションに、設計容量・現在のフル充電容量・サイクル数などが表示されます。
実際のレポート例

項目 | 内容 |
---|---|
設計容量(DESIGN CAPACITY) | 45,000 mWh(購入時のバッテリーの理想値) |
現在容量(FULL CHARGE CAPACITY) | 37,990 mWh(満充電時の実力値) |
劣化量 | 約7,010 mWh減少(設計比) |
劣化率 | 約84.4%(= 37,990 ÷ 45,000 × 100) |
サイクル数(CYCLE COUNT) | 337回(累積充放電回数) |
この状態は大丈夫?
- 80%以上 → 実用的には問題なし(気になるほどの持ちの悪さはない)
- 70%台 → 明らかに減りが早く感じるようになってくる
- 60%以下 → 交換を検討するタイミング
また、サイクル数も重要です。
ノートPCでは「サイクル数500回前後で寿命が近づく」と言われており、337回というのは中間地点といえます。
トラブル解決に役立つコマンド
シナリオ | コマンド例 |
---|---|
スリープできない原因を調べたい | powercfg /requests |
勝手にスリープ解除される | powercfg /lastwake で直前の原因を確認 |
マウスやLANでスリープ解除させない | powercfg /devicedisablewake "HID-compliant mouse" |
スリープ設定のレポートを確認 | powercfg /energy (レポートを15秒収集) |
まとめ|powercfgコマンドで電源設定を自在に管理しよう
powercfg
コマンドは、電源設定やスリープ制御、バッテリー状態の診断などをコマンドラインで一括管理できる便利なツールです。
- GUIでは見えない電源関連の詳細情報を取得できる
- スリープできない・勝手に復帰するなどのトラブル解決に有効
- バッテリーレポートでノートPCの劣化状況も可視化可能
電源やスリープに関する課題を感じたときは、まず powercfg
を試してみましょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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