
Kerberos ローカル キー配布センター(KDC)は、Windowsにおける安全なユーザー認証を支えるサービスで、Kerberos認証プロトコルに基づきトークンの生成・配布を行います。Active Directoryと連携し、ログオンやネットワーク認証の要となる重要な存在です。
この記事では、KDCの役割、設定方法、トラブル時の対処法を詳しく解説します。
目次
サービスの基本情報
- サービス名:Kerberos ローカル キー配布センター
- 内部名:kdc
- 実行ファイル:
svchost.exe
- スタートアップの種類:手動(または自動)
- 対応OS:Windows 10 / 11(主にドメインコントローラーで使用)
サービスの概要
Kerberos ローカル キー配布センターは、Kerberosプロトコルを用いてユーザーやサービスに安全な認証トークン(TGT)を発行・管理するサービスです。ドメイン環境では、ユーザー認証とサービス間の安全な通信の中核を担います。
主な用途と機能
- Kerberosチケットの生成と配布(TGT・TGS)
- ユーザー認証とサービス認証の安全性確保
- Active Directoryと連携した認証処理の管理
- ドメインログオンとシングルサインオンのサポート
サービスの設定方法

- 「スタート」→「サービス」と検索して起動
- 一覧から「Kerberos ローカル キー配布センター(kdc)」を探す
- 右クリックして「プロパティ」を開く
- 「スタートアップの種類」を「自動」または「手動」に設定
- 必要に応じて「開始」「停止」ボタンで状態を制御
有効化/無効化の手順
有効化
- スタートアップの種類を「自動」に設定
- 「開始」ボタンでサービスを起動
無効化(非推奨)
- ドメイン認証やKerberosベースのアプリに重大な影響
- 無効化は原則避け、トラブルシュート時のみ一時停止を検討
推奨設定とその理由
- 推奨設定:自動(ドメインコントローラー環境)
理由
- Kerberos認証が正常に機能しないと、ログオンやアクセス制御に支障が出る
- 安定した認証基盤を維持するためには常時有効が必要
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- ドメインログオンができない
- サービス認証エラー(TGSの取得失敗など)
- イベントログにKDC関連のエラーが記録される
解決手順
- KDCサービスが実行中か確認
- サーバーの時刻が正しいか確認(時刻同期はKerberosで必須)
- DNS設定とActive Directory構成を確認
- コマンドでキャッシュを削除:
klist purge
関連サービスや補足情報
サービス名 | 説明 | 推奨設定 |
---|---|---|
Netlogon | ドメインログオンの補助 | 自動 |
Active Directory Domain Services | ドメイン全体の管理 | 自動 |
Windows Time | 時刻同期 | 自動 |
FAQセクション
Q1:Kerberos ローカル キー配布センターはすべてのPCで使われますか?
A1: いいえ、主にドメインコントローラーで有効なサービスであり、通常のクライアントPCでは必要ありません。
Q2:KDCサービスが停止するとどうなりますか?
A2: ユーザーやサービスの認証ができなくなり、ログオンやアプリの使用に重大な問題が生じます。
関連リンク
- Windowsサービス管理の基本ガイド
- Netlogonサービスとは?
- Microsoft公式:Kerberosの技術情報
まとめ
Kerberos ローカル キー配布センターは、Windowsドメイン環境における安全な認証処理の中心的な役割を担うサービスです。企業ネットワークやActive Directoryを運用する上で不可欠な存在であり、常時有効に保つことが安定した認証とセキュリティの鍵となります。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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