
複数のデータベースやリソースマネージャーをまたぐトランザクション処理において、整合性を保ちながら処理を調整するのが「Distributed Transaction Coordinator(DTC)」サービスです。高度なシステム処理を行う環境では欠かせない存在ですが、一般ユーザーにはあまり馴染みがないかもしれません。
この記事では、Distributed Transaction Coordinatorの役割、設定方法、無効化の可否などについて解説します。
目次
サービスの基本情報
- サービス名:Distributed Transaction Coordinator
- 内部名:MSDTC
- 実行ファイル:
msdtc.exe
- スタートアップの種類:手動(または自動)
- 対応OS:Windows 10 / 11 / Server
サービスの概要
Distributed Transaction Coordinatorは、複数の異なるリソース(データベース、ファイルシステムなど)にまたがるトランザクションを一貫して処理・調整するためのWindowsサービスです。特に、SQL Serverなどの分散トランザクションを使用するアプリケーションや、COM+アプリケーションなどで利用されます。
主な用途と機能
- 分散トランザクションの調整
複数のデータベースやシステム間でのトランザクション整合性を保証 - ACID特性の保持
Atomicity(原子性)やConsistency(整合性)を確保し、処理の信頼性を向上 - COM+やMS SQL Serverとの連携
高度な業務アプリケーション環境でのトランザクション管理を支援
サービスの設定方法

- 「スタート」→「サービス」と検索し、アプリを開く
- 一覧から「Distributed Transaction Coordinator」を選択
- ダブルクリックして「プロパティ」を開き、状態とスタートアップの種類を確認
有効化/無効化の手順
無効化する手順(※業務用途がない場合のみ)
- サービス一覧から「Distributed Transaction Coordinator」を右クリック →「プロパティ」
- 「スタートアップの種類」を「無効」に変更
- 状態が「実行中」の場合、「停止」をクリックし、適用して閉じる
推奨設定とその理由
- 一般ユーザー:無効または手動
- 業務用途(SQL Server等利用時):自動
理由
- 一般的な家庭用PCや単体アプリ使用時には、このサービスは不要です
- ただし、SQL Serverや複数リソースを扱う企業システムでは、DTCが不可欠な場合があります
- 不明な場合は「手動」にして様子を見るのが安全です
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- SQL Serverとの接続でトランザクションエラーが発生する
- COM+アプリケーションで「トランザクション開始に失敗しました」と表示
- イベントログにDTC関連のエラーが記録される
解決手順
- DTCサービスの状態確認と再起動
- ファイアウォール設定の見直し(DTCポートがブロックされている場合あり)
- 「コンポーネントサービス」でDTC構成を確認
- 管理ツール → コンポーネントサービス → コンピューター → マイコンピューター → DTCの構成
関連サービスや補足情報
サービス名 | 役割 | 推奨設定 |
---|---|---|
COM+ System Application | COM+アプリケーションの管理 | 手動 |
RPC (Remote Procedure Call) | DTCが依存 | 自動 |
SQL Server | DTCを利用する可能性あり | 環境依存 |
FAQセクション
Q1:このサービスは普段使いのPCで必要ですか?
A1: 必要ありません。データベースや企業向けソフトを使っていない場合、無効でも問題ありません。
Q2:サービスを停止しても安全ですか?
A2: 一般用途なら安全ですが、業務用アプリやデータベースソフトを利用している場合は停止しない方がよいです。
関連リンク
まとめ
Distributed Transaction Coordinatorは、分散トランザクションを扱うシステムや業務用ソフトにとっては不可欠なサービスですが、一般ユーザーにとっては使用機会がほとんどありません。そのため、多くの環境では「手動」や「無効」に設定しても問題ありません。使用中のアプリケーションに応じて適切な設定を行いましょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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