
prnportコマンドとは?
prnport
コマンドは、Windowsのコマンドラインから標準TCP/IPプリンタポートを作成、削除、設定、一覧表示するためのコマンドです。プリンタポートの管理を自動化し、プリンタのネットワーク設定を効率的に管理するために使われます。システム管理者や企業ネットワーク環境でのプリンタ管理を簡素化するために、特に役立つツールです。
主な用途
- TCP/IPプリンタポートの作成と削除: ネットワークプリンタに必要な標準TCP/IPポートを作成・削除。
- プリンタポートの一覧表示: 接続されているすべてのTCP/IPプリンタポートを確認。
- ポートの構成設定: IPアドレス、ポート番号、プロトコルなどのポート設定を変更。
- SNMPの有効化・無効化: ポートに対するSNMPの設定を制御。
prnportコマンドの使い方
prnport
コマンドを使用すると、ネットワークプリンタに必要なTCP/IPポートの設定や管理ができます。特に、ネットワーク環境で複数のプリンタを効率的に管理する際に有用です。
基本構文
prnport [-a | -d | -l | -g | -t] [-s <Servername>] [-r <Portname>] [-o {raw|lpr}] [-h <Hostaddress>] [-n <Portnumber>] [-m {e|d}] [-i <SNMPindex>] [-y <Communityname>] [-u <Username> -w <Password>]
パラメーター | 説明 |
---|---|
-a | TCP/IPプリンタポートを作成します。 |
-d | TCP/IPプリンタポートを削除します。 |
-l | 指定されたサーバー上のすべてのTCP/IPプリンタポートを一覧表示します。 |
-g | 指定したTCP/IPプリンタポートの設定を表示します。 |
-t | TCP/IPプリンタポートの設定を構成します。 |
-s <Servername> | 管理するプリンターをホストするリモートコンピューターの名前を指定します。 |
-r <Portname> | 管理するポート名を指定します。 |
-o {raw | lpr} | 使用するプロトコル(TCP raw または TCP lpr)を指定します。 |
-h <Hostaddress> | ポートを構成するプリンターのIPアドレスを指定します。 |
-n <Portnumber> | ポート番号を指定します(既定のポート番号は9100)。 |
-m {e | d} | SNMPが有効か無効かを指定します。 |
-i <SNMPindex> | SNMPインデックスを指定します(SNMPが有効な場合)。 |
-y <Communityname> | SNMPコミュニティ名を指定します(SNMPが有効な場合)。 |
-u <Username> -w <Password> | プリンターをホストするコンピューターへのアクセス許可を持つアカウント情報を指定します。 |
/? | コマンドのヘルプを表示します。 |
使用例
1. TCP/IPプリンタポートの作成
標準TCP/IPプリンタポートを新規作成し、指定したIPアドレスとポート番号に割り当てます。
prnport -a -r "IP_192.168.1.100" -h 192.168.1.100 -n 9100 -o raw
- 説明:
192.168.1.100
というIPアドレスに対して、ポート番号9100
を使用し、raw
プロトコルでTCP/IPポートを作成します。このコマンドにより、ネットワークプリンタが適切に接続できるようになります。
2. TCP/IPプリンタポートの削除
不要なTCP/IPプリンタポートを削除します。
prnport -d -r "IP_192.168.1.100"
- 説明: ポート名
IP_192.168.1.100
を持つTCP/IPポートを削除します。ネットワークプリンタが削除された場合やポートの再構成が必要な場合に使用します。
3. TCP/IPプリンタポートの一覧表示
ローカルまたはリモートコンピュータ上に存在するすべてのTCP/IPプリンタポートを一覧表示します。
prnport -l
- 説明: 現在接続されているすべてのTCP/IPプリンタポートが表示されます。リモートコンピュータを指定する場合は、
-s
オプションでサーバー名を指定します。
4. TCP/IPプリンタポートの構成表示
指定したTCP/IPプリンタポートの設定を表示します。
prnport -g -r "IP_192.168.1.100"
- 説明: ポート名
IP_192.168.1.100
に関連する設定を確認します。ポートが正しく設定されているか確認する際に便利です。
5. プロトコルとポート番号の構成変更
prnport
を使用して、TCP/IPプリンタポートのプロトコルとポート番号を設定・変更します。
prnport -t -r "IP_192.168.1.100" -o lpr -n 515
- 説明: ポート名
IP_192.168.1.100
のプロトコルをlpr
に変更し、ポート番号を515
に設定します。このコマンドにより、プリンタの通信プロトコルやポート番号を変更できます。
SNMP設定
TCP/IPプリンタポートに対してSNMPを有効化または無効化できます。
6. SNMPの有効化
prnport -t -r "IP_192.168.1.100" -m e -i 1 -y "public"
- 説明:
IP_192.168.1.100
ポートのSNMPを有効化し、SNMPインデックス1
、コミュニティ名public
で設定します。
7. SNMPの無効化
prnport -t -r "IP_192.168.1.100" -m d
- 説明: ポート名
IP_192.168.1.100
に対して、SNMP機能を無効化します。
prnportコマンドの活用例
ネットワークプリンタの自動設定スクリプト
複数のプリンタを自動的に設定したい場合、prnport
コマンドをスクリプトに組み込み、ポートの作成や構成を一括で管理することが可能です。
@echo off
prnport -a -r "IP_192.168.1.100" -h 192.168.1.100 -n 9100 -o raw
prnport -a -r "IP_192.168.1.101" -h 192.168.1.101 -n 9100 -o raw
- 説明: このバッチスクリプトは、2つのネットワークプリンタに対してTCP/IPポートを作成し、設定を行います。複数のプリンタを一括で設定したい場合に非常に便利です。
リモートプリンタのポート管理
リモートコンピュータに接続しているネットワークプリンタのポート設定を管理する場合にも、prnport
コマンドが役立ちます。
prnport -l -s \\server
–
説明: \\server
でホストされているすべてのTCP/IPプリンタポートを一覧表示します。リモートプリンタの状態を確認する際に有効です。
prnportコマンドを使う際の注意点
- 管理者権限が必要: プリンタポートの作成、削除、構成変更には管理者権限が必要です。コマンドプロンプトを「管理者として実行」して操作を行ってください。
- IPアドレスの確認が重要: ネットワークプリンタのIPアドレスを正しく指定しないと、ポートが正しく作成されず、プリンタの接続に失敗する可能性があります。
- SNMP設定の確認: SNMPを有効化する際には、正しいインデックス番号やコミュニティ名を指定してください。設定が誤っていると、プリンタの状態監視が正常に行えなくなります。
prnportコマンドの使用をすすめる場合
prnport
コマンドは、ネットワークプリンタのTCP/IPポートを設定・管理する際に非常に便利です。ネットワーク環境で複数のプリンタを効率的に管理するために、ポートの作成、削除、構成変更が必要な場合に役立ちます。
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まとめ
prnport
コマンドは、WindowsでのTCP/IPプリンタポートを管理するためのツールであり、ネットワークプリンタの効率的な接続設定や構成変更を可能にします。特に、企業ネットワークや複数のプリンタを使用する環境では、このコマンドを利用してプリンタ管理を自動化することで、大幅な効率化を図ることができます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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