
NET コマンドとは?
NET
コマンドは、Windowsのコマンドプロンプトでネットワークリソースやユーザーアカウント、サービスなどを管理するための強力なツールです。このコマンドを使用することで、ユーザーアカウントの追加・削除、グループ管理、共有フォルダの設定、サービスの開始・停止など、さまざまな管理タスクを効率的に行うことができます。システム管理者やITプロフェッショナルにとって、日常的なネットワーク管理作業を自動化・簡略化するために欠かせないコマンドです。
NET コマンドの構文
NET
[ ACCOUNTS | COMPUTER | CONFIG | CONTINUE | FILE | GROUP | HELP |
HELPMSG | LOCALGROUP | PAUSE | SESSION | SHARE | START |
STATISTICS | STOP | TIME | USE | USER | VIEW ]
各サブコマンドは、特定の管理タスクを実行するために使用されます。以下では、主要なサブコマンドとその用途について詳しく解説します。
主なサブコマンドと用途
1. NET USER
概要: ユーザーアカウントの管理(作成、削除、パスワード変更など)を行います。
使用例:
- ユーザーアカウントの一覧表示
NET USER
- 新しいユーザーの追加
NET USER 新規ユーザー パスワード /ADD
- ユーザーアカウントの削除
NET USER ユーザー名 /DELETE
2. NET LOCALGROUP
概要: ローカルグループの管理(グループへのユーザー追加・削除)を行います。
使用例:
- グループの一覧表示
NET LOCALGROUP
- ユーザーをグループに追加
NET LOCALGROUP グループ名 ユーザー名 /ADD
- ユーザーをグループから削除
NET LOCALGROUP グループ名 ユーザー名 /DELETE
3. NET SHARE
概要: ネットワーク共有フォルダの管理(共有の作成・削除・一覧表示)を行います。
使用例:
- 共有フォルダの一覧表示
NET SHARE
- 新しい共有フォルダの作成
NET SHARE 共有名=C:\フォルダパス
- 共有フォルダの削除
NET SHARE 共有名 /DELETE
4. NET START / STOP
概要: Windowsサービスの開始・停止を行います。
使用例:
- サービスの一覧表示
NET START
- サービスの開始
NET START サービス名
- サービスの停止
NET STOP サービス名
5. NET SESSION
概要: 現在のセッション情報を表示・管理します。リモートセッションの確認や切断が可能です。
使用例:
- 現在のセッションの一覧表示
NET SESSION
- 特定のセッションを切断
NET SESSION セッション名 /DELETE
6. NET COMPUTER
概要: コンピュータアカウントの管理を行います。ドメイン環境での操作が主です。
使用例:
- ドメインに参加しているコンピュータの一覧表示
NET COMPUTER
- コンピュータアカウントの追加
NET COMPUTER 新規コンピュータ名 /ADD
7. NET CONFIG
概要: ネットワークサービスの構成情報を表示します。
使用例:
- ネットワークサービスの構成情報を表示
NET CONFIG
8. NET HELP / HELPMSG
概要: NET
コマンドのヘルプ情報を表示します。サブコマンドごとの詳細な使用方法が確認できます。
使用例:
- NET コマンド全体のヘルプを表示
NET HELP
- 特定のサブコマンドのヘルプを表示
NET HELPMSG サブコマンド
NET コマンドの詳細なサブコマンド解説
NET ACCOUNTS
概要: ユーザーアカウントのポリシー設定(パスワードポリシー、アカウントロックアウトポリシーなど)を管理します。
使用例:
- パスワード最小長の設定
NET ACCOUNTS /MINPWLEN:8
- アカウントロックアウト閾値の設定
NET ACCOUNTS /LOCKOUTTHRESHOLD:5
NET FILE
概要: 共有されているファイルの情報を表示し、不要なファイルハンドルを閉じることができます。
使用例:
- 共有ファイルの一覧表示
NET FILE
- 特定のファイルハンドルを閉じる
NET FILE ファイルID /DELETE
NET GROUP
概要: ドメイングループの管理を行います。主にドメイン環境で使用されます。
使用例:
- ドメイングループの一覧表示
NET GROUP
- ユーザーをドメイングループに追加
NET GROUP グループ名 ユーザー名 /ADD /DOMAIN
- ユーザーをドメイングループから削除
NET GROUP グループ名 ユーザー名 /DELETE /DOMAIN
NET VIEW
概要: ネットワーク上の共有リソースやコンピュータの一覧を表示します。
使用例:
- ネットワーク共有リソースの一覧表示
NET VIEW
- 特定のコンピュータの共有リソースを表示
NET VIEW \\コンピュータ名
NET USE
概要: ネットワークドライブのマッピングや切断を行います。リモート共有フォルダへのアクセスを簡単に設定できます。
使用例:
- ネットワークドライブをマッピング
NET USE Z: \\サーバー名\共有名
- ネットワークドライブの切断
NET USE Z: /DELETE
NET TIME
概要: システムの時刻を同期したり、時刻情報を表示します。
使用例:
- ローカルシステムの時刻を表示
NET TIME
- 他のコンピュータと時刻を同期
NET TIME \\コンピュータ名 /SET
NET STATISTICS
概要: ネットワーク統計情報を表示します。ネットワークのパフォーマンスやトラフィックの状況を把握するのに役立ちます。
使用例:
- ネットワーク統計情報を表示
NET STATISTICS
NET PAUSE
概要: サービスの一時停止を行います。サービスの動作を一時的に停止する際に使用します。
使用例:
- 特定のサービスを一時停止
NET PAUSE サービス名
NET CONTINUE
概要: 一時停止したサービスを再開します。
使用例:
- 特定のサービスを再開
NET CONTINUE サービス名
NET コマンドの活用例
1. 新規ユーザーアカウントの作成とグループへの追加
NET USER 新規ユーザー パスワード /ADD
NET LOCALGROUP "Administrators" 新規ユーザー /ADD
- 説明: 最初のコマンドで新しいユーザーアカウントを作成し、次のコマンドでそのユーザーを「Administrators」グループに追加します。管理者権限を持つ新規ユーザーを迅速に設定できます。
2. ネットワークドライブのマッピングと切断
NET USE X: \\サーバー名\共有フォルダ /USER:ユーザー名 パスワード
NET USE X: /DELETE
- 説明: 最初のコマンドでネットワーク共有フォルダをドライブXにマッピングし、次のコマンドでそのマッピングを解除します。リモートリソースへのアクセスを簡単に管理できます。
3. 共有フォルダの作成と削除
NET SHARE 共有名=C:\共有フォルダ /GRANT:ユーザー名,FULL
NET SHARE 共有名 /DELETE
- 説明: 最初のコマンドでCドライブの「共有フォルダ」を共有し、指定ユーザーにフルアクセス権を付与します。次のコマンドでその共有を削除します。共有リソースの管理が容易になります。
4. サービスの管理
NET START サービス名
NET STOP サービス名
- 説明: サービスを開始または停止することで、システムの動作を制御します。例えば、Webサーバーサービスを停止してメンテナンスを行う場合などに使用します。
NET コマンドを使う際の注意点
- 管理者権限の必要性: 多くの
NET
コマンドは管理者権限を必要とします。コマンドプロンプトを「管理者として実行」で開いてから操作を行ってください。 - 正確なコマンド入力: サブコマンドやオプションを正確に入力しないと、期待通りの操作が行われない場合があります。特にユーザー名やグループ名は正確に指定する必要があります。
- ネットワーク環境の理解: ドメイン環境やワークグループ環境によって、使用できるサブコマンドやオプションが異なる場合があります。環境に応じた適切なコマンドを使用してください。
関連コマンド
- NET USER コマンドの使い方: ユーザーアカウントを管理するための
NET USER
コマンドの解説です。
まとめ
NET
コマンドは、Windows環境におけるネットワークリソースやユーザーアカウントの管理を効率化するための強力なツールです。ユーザーアカウントの作成・削除、グループ管理、共有フォルダの設定、サービスの制御など、幅広い管理タスクをコマンドラインから迅速に実行できます。特にシステム管理者やITプロフェッショナルにとって、日常的なネットワーク管理作業を自動化・簡略化するために不可欠なコマンドです。正確な使用方法を理解し、適切に活用することで、Windows環境の管理効率を大幅に向上させることができます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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