
Windows 10以降では、クリップボードにコピーした内容を履歴として残したり、複数のデバイス間で共有できる便利な機能が追加されています。これらを支えているのが「クリップボード ユーザー サービス(Clipboard User Service)」です。
表からは見えにくい存在ですが、このサービスが停止していると履歴が残らなかったり、同期が機能しなくなる原因になります。本記事では、このサービスの概要、設定手順、よくあるトラブルへの対処法まで詳しく解説していきます。
サービスの基本情報
サービスの概要
- サービス名:Clipboard User Service
- 表示名(日本語):クリップボード ユーザー サービス
- 実行ファイル:
cdpusersvc.dll
(バージョンにより異なる) - 初期スタートアップの種類:自動(遅延開始)
- サービス名(内部名):
cbdhsvc_xxxxx
(※xxxxxはランダムなインスタンスID) - 依存関係:User Profile Service、Remote Procedure Call(RPC)など
主な用途と機能
このサービスが担う機能は次の通りです。
- クリップボード履歴の保存と管理
- Microsoftアカウントを使ったデバイス間のクリップボード同期
- [Windows + V] で開く履歴ビューの機能的支援
- テキストや画像データを複数デバイスで共有可能にする
ユーザー体験に直結する便利な機能を提供するため、裏で常に静かに動作しています。
サービスの設定方法
有効化や無効化の手順

有効化する場合
Win + R
→services.msc
を入力し、Enter- サービス一覧から「Clipboard User Service(cbdhsvc_xxxxx)」を探してダブルクリック
- 「スタートアップの種類」を「自動(遅延開始)」に設定
- 「開始」ボタンを押してサービスを実行状態にし、「OK」で確定
無効化する場合
- 同様に
services.msc
から該当サービスを開く - 「スタートアップの種類」を「無効」に変更
- 「停止」ボタンを押して終了させ、「OK」で保存
注意点として、サービス名の末尾は環境によって異なるインスタンスIDが付与されており、複数表示されることもあります。操作時は対象を正しく確認しましょう。
推奨設定とその理由
クリップボードの履歴やデバイス間同期を日常的に使用している場合、このサービスは必須です。設定は「自動(遅延開始)」のまま維持するのが最も適しています。
逆に、履歴機能やクラウド同期を使用しない環境では、パフォーマンス最適化の一環として「手動」や「無効」に設定しても問題はありません。ただし、その場合は[Windows + V]による履歴の呼び出しができなくなるなどの制限があることを理解しておく必要があります。
よくあるトラブルと対処法
トラブル事例
- クリップボード履歴が記録されない
- [Windows + V] を押しても履歴ウィンドウが開かない
- デバイス間でのクリップボード同期ができない
- 突然履歴が消えてしまう、または一時的に使えなくなる
解決手順
最初に確認すべきは「Clipboard User Service」が起動中であるかどうかです。services.msc
から確認し、サービスが停止している場合は「開始」をクリックします。それでも改善しない場合は以下のような方法も試してみましょう。
- クリップボード機能の設定を確認
→ [設定] → [システム] → [クリップボード] で「クリップボードの履歴」や「デバイス間の同期」が有効になっているか確認 - サービスを再起動するコマンド
sc stop cbdhsvc_xxxxx sc start cbdhsvc_xxxxx
- 同期不具合の場合はMicrosoftアカウントの再サインインを試す
- ローカルグループポリシーの確認(Proエディションなど)
→ 一部環境では「クリップボードの履歴を無効化する」ポリシーが設定されていることがあります
関連サービスや補足情報
- User Profile Service:ユーザーのセッション情報やデータの管理を担当
- Connected Devices Platform Service:デバイス間の同期機能を支える関連サービス
- Windows Push Notification System Service:クラウド通知や同期に必要なメッセージ管理
これらのサービスが停止していると、Clipboard User Serviceの動作にも影響が及ぶことがあります。
FAQセクション
Q1:クリップボード履歴が急に使えなくなりました。原因は何ですか?
→ 多くの場合、「Clipboard User Service」が停止しているか、Windows設定の「クリップボード履歴」機能がオフになっていることが原因です。サービス状態と設定を確認してみてください。
Q2:サービス名にxxxxxxとついていて見つけにくいのですが問題ないですか?
→ 問題ありません。「Clipboard User Service」はマルチユーザー環境に対応するため、各ユーザーに固有のサービスインスタンス(cbdhsvc_XXXXX)が割り当てられます。同様の名前が複数あっても正常動作です。
関連リンク
- Windows 11 クリップボードの設定と使い方
- サービスをコマンドで制御する方法
- コマンドプロンプトによるサービス操作まとめ
- バッチファイルでのサービス起動自動化|Microsoft公式
- ネットワーク経由のデバイス同期トラブル解決方法|Microsoft公式
まとめ
クリップボード ユーザー サービスは、Windowsにおけるコピー&ペーストの進化を支える裏方の存在です。特に、履歴機能や複数デバイス間でのクリップボード共有を日常的に利用している場合、このサービスが確実に動作していることが安定した使用体験につながります。使用しない場合は無効化しても大きな問題はありませんが、予期せぬ動作の変化に気づかないまま困ってしまうケースもあるため、設定状況を把握しておくことが重要です。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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